竹中平蔵教授と「働き方」について対談しました
竹中平蔵先生と「働き方」について対談しました。
竹中平蔵氏に聞く「激動の時代の航海術」
これからのビジネス環境の変化に対応できる社内SNSとは
竹中平蔵氏は、著書『竹中流「世界人」のススメ』の中で 「これから世界はフラットな世界とスパイキーな世界に分かれていく」と語っています。
そしてそれぞれの世界について
「スパイキーな世界では生きるのは大変だし、リスクもある。しかし、大きなチャンスがある。一方、フラットな世界では先進国の人々にとっては現状維持すら難しい。」
と語っています。
この「フラット」「スパイキー」というキーワードを中心にこれからのビジネス環境がどのように変化していくのか、そのとき我々の働き方はどのように変わっていくのか、お話をお伺いしました。
第1部(いま働き方が変わろうとしている)は本記事になります。
第2部(フラットな世界とスパイキーな世界のはざまで)はこちらへ
第3部(スパイキーであるために)はこちらへ
いま働き方が変わろうとしている
- 多様化する働き方・多様化する価値観 -
Connectブログ編集部:
著書『竹中流「世界人」のススメ』の中で 「スパイキーな世界」と「フラットな世界」という言葉を使われていますが、この2つの世界はそれぞれどのような世界を表しているのでしょうか。
竹中氏:
フラットな世界、スパイキーな世界を説明する前にこれまで世界に起きてきた変化について考える必要があります。
働き方についても、長い時間軸で起きた様々な変化を認識することが大切です。
産業革命以前の「家内制手工業」の時代には家と職場は分かれていませんでした。
夫婦・家族は一緒に働いていました。
産業革命を起こり、工場ができたことで「工場制手工業」の時代に変わります。
誰かが工場に行って、誰かが家にいるという分業体制ができます。
多くの場合、男性が職場に出て女性が家にいました。そして主婦という概念が生まれます。
産業革命以降、この分業体制が続いてきました。
それがいままた変わろうとしています。
通信技術やクラウド技術をはじめとするデジタル技術革新によって、課長・部長などの管理職が不要になりはじめています。
デジタル技術を活用すれば、一部の意思決定者と作業担当者がいれば事足りてしまいます。そんな世界では働き方も変わってくるでしょう。
職場に行かなくても仕事ができるようになります。
職場にいないから9-5時のような時間による管理はできなくなります。
いままでのように時間で労働を計るのではなく、成果で労働を計る必要が出てきます。
様々なテクノロジーの刷新や価値観の変化によって働き方も変わっていきます。
Connectブログ編集部:
そうですね。
スケジュールや顧客管理、営業支援からコミュニケーションまでビジネスを支える様々なツールやシステムが次々と登場し、会社に行かなければできなかったこと、対面でなければできなかったことが、いつでもどこでもできる時代になってきました。
2025年頃には、ホワイトカラーの1/3がオンラインワーカーになるとも言われています。
働き方も在宅勤務、時短勤務など、個人の置かれている状況や価値観に合わせて選ぶことができるようになってきています。
様々な働き方が生まれてくるなかで対面で会う回数は減り、働いている時間も異なるようになっています。またテクノロジーの刷新によってコミュニケーションを取る機会も減っています。
このような状況に合わせて、個人が受け持つのタスクの独立性や自律性は高まっています。
タスクを細かく管理するのではなく、一任し、進捗状況や成果を確認するという形が生まれてきています。
タスクを一任するためには、互いの信頼関係が重要になってきます。
いままでは同じ場所で同じ時間に顔を合わせていましたから、自然とコミュニケーションを取る機会があり、信頼関係の醸成が行われていました。しかし、多様な働き方の中で以前のようなコミュニケーションの機会は減っています。
そこで必要となるのが、新しいコミュニケーションのプラットホームです。
多様な働き方をサポートするコミュニケーションのプラットフォームとして、Connectのような社内SNSは非常に効果的です。
社内SNSはいつでもどこでもアクセスすることができるので、同じ時間に同じ場所で働いていなくてもそれぞれの意見や考え、疑問などを交わすことができます。
たとえば、会社やプロジェクトが持つビジョンや理念、方針や戦略を簡単に共有することができます。
多くの社内SNSでは投稿に対して賛同の意を表す「イイネ」機能や投稿に対しての疑問や意見を述べるためのコメント機能があります。
ただ共有するだけでなく、それぞれが賛同の意を表したり、わからないことがあれば質問をしたり、おかしいと思えば意見を言ったりすることで互いの信頼関係が構築されます。
そして、自律的なタスクをしているひとりひとりがなぜこのタスクが必要なのかということを考える機会が生まれ、目的意識が生まれるようになります。
対面ではなくても、社内SNSを活用することでコミュニケーションが活性化し、様々な働き方をしている人同士、様々な価値観を持っている人同士が円滑に業務を運営していくことが可能になります。
竹中氏:
価値観の変化という意味では日本が豊かになったという側面が大きいのではないでしょうか。就職をしなくても食べていくことができるようになっています。
私が就職するときはどこでも良いから食べるために就職するということが一番大きな動機になっていました。
しかしいまの若い人たちは何のために働くのかを考えなくてはいけなくなっています。
食べるために働くということに加えて、何のために働くのかというモチベーションが非常に重要になっています。
そういう人々にとって、仕事が苦痛であり苦痛を対価として給与をもらうという概念はなく、仕事と趣味の区別がなくなっています。
わかりやすい例がアーティストです。学者もそれに近いですね。
昔に比べるとモチベーションを重視する思考・価値観が広がっています。
またそのような思考や価値観を重視する仕事も増えています。
いまはそのような時代に入ってきました。
産業革命以前から現代までのこの大きな流れを捉えることが非常に重要です。
なぜなら我々はこの大きな流れの中を漂っているわけですから。