企業のM&Aの成否を握る社内SNS
今回は渋谷ヒカリエにて開催された「次世代ナレッジマネジメントカンファレンス」株式会社マーバルパートナーズの山口 博氏の講演「M&A・組織再編成の成否を握る社内SNS」をレポートします。
株式会社マーバルパートナーズ 山口博氏
M&A戦略、M&A実行、M&A後の価値創造を一環して担うM&Aコンサルティング会社である株式会社マーバルパートナーズのプラクティス・オペレーションズ ディレクター。
組織再編成時の課題
M&Aや組織再編成を実施した際に直面するさまざまな障害は、主として制度に関わるもの、業務プロセスに関わるもの、メンバーの行動様式に関わるもの、メンバーのマインド関わるものに大別されます。過去のM&Aや組織再編成において、これらの障害がもたらした深刻な事態を、山口氏が人事や人材開発の観点から推進した金融業界、IT業界、製造業界のM&Aや組織再編成の事例から紹介していただきました。
北米の富裕層向け金融機関が日本で中位の生命保険会社を買収した事例を取り上げ、両社の特性の違いを分析。買収した企業は英語を使用し、ビジネスモデルは富裕層向けの高額高利益商品を販売する一方で、買収された企業は英語を使える社員はほとんどおらず、ビジネスモデルは一般庶民向け小口限定利益商品でした。買う側と買われる側のスキルや行動の不一致が社内融和を阻む原因になっていると説明。
こうした問題を解決するための具体的な取り組みとして、マーバルパートナーズで行っている演習・事例研究を紹介していただきました。
制度やプロセスの統合はある程度できているものの、ハンドルするメンバーの行動様式やマインドの統合が不十分で、これが障害となり、せっかく形作られた制度やプロセスを崩壊させてしまったり、機能不全に陥らせたりするケースが多々みられると説明。それに伴い、オペレーション部門やバックオフィス部門が思考停止に陥りがちになることも問題として挙げられていました。