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人類進化の軌跡

スマートグリッド戦略とグリーンエコノミーの到来(ITとエコロジー)

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昨年、国際エネルギー機構(IEA)が「2009世界エネルギー主要統計」を発表しました。それによると中国で2007年の1年間に排出されたCO2排出量が米国を抜き、ついに世界最大になりました。中国は産業化が早く進行され、1990年に比べて2007年は148%もCO2排出量が増加しました。

フランスの大統領補佐官を務めたヨーロッパの知性として名高いジャックアタリ氏は「21世紀の歴史」という本の中で人類に関してこのような観測を述べています。

『現在のペースで進めば40年後にはヨーロッパや北アメリカ地域の保護林をのぞき、森林資源は消失します。2050年までには環境難民の数は10倍になると言われています。2100年までに気温は5度上昇し、砂漠化が進み深刻な問題となるでしょう。

グリーンランドの氷河が解けるスピードは2004年から2006年までに250%までにも上昇、氷河は急速に後退しています。干ばつにより飲み水は希少になり』我々人類が技術的に、モラル的にこれ等の問題を克服できなければその未来は厳しいと警告しています。

これに対しアメリカではオバマ政権が、グリーンニューディール政策を発表。グリーンニューディール政策という名前はかつてフランクリンルーズベルト大統領が行った、世界恐慌対策、ニューディール政策に由来しています。

グリーンニューディール政策というものは簡単に説明しますと大きく4つの柱から構成されています。

①景気対策
②グリーンジョブの創出
③エネルギーの安全保障(安定したエネルギー資源の確保)
④温室効果ガスの排出削減などがございます。

具体的には再生可能エネルギー利用促進。エコカーの普及。スマートグリッドの支援があります。今後10年間でクリーンエネルギーの開発に1500億ドル(日本円では約13兆円)投資し、500万人の雇用を創出する計画であります。又、エネルギーの安全保障・温室効果ガス削減では再生可能エネルギーの供給量を2025年までに25%高め、国産ハイブリッド自動車を2015年までに100万台普及するのが目的です。又、排出量取引制度を導入することにより温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年レベルに削減すると発表しています。

これ等グリーンニューディール政策は低炭素社会の到来の足掛かりとなり、多くの環境問題と同時に雇用創出、自動車産業の再生など数々の経済問題をも解決すると考えられています。特にスマートグリッド政策に関してはオバマ政権は重点的に予算配分をおこなっており、政策の中心になると考えられています。スマートグリッド政策(直訳:賢い送電網)では電力を主とするエネルギーの効率網の整備だけではなくITを駆使し監視、管理を行います。スマートグリッドでは従来の送電システムのような、発電所から利用者へ一方的に電力を送信だけではなく、双方向でのやりとりが発生します。最近ではインテル社がスマートグリッド戦略に力を入れ始めています。

インテル、スマートグリッド戦略を強化へ

http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20410629,00.htm

今や世界的にスマートグリッドの導入が積極的に行われています。ドイツはもとより、米国のカリフォルニア州、ニューヨーク州などだ。 今後は環境産業が新しい産業として育っていきます。環境対策の元に米国の新しい国家戦略が見え隠れします。

日本では民主党もスマートグリッドの推進はうたっているものの一部の電力会社は反対をしていると聞いております。 理由は、原子力発電、水力発電、火力発電などへ大型投資を既に行っているため、スマートグリッドの普及はこれらの大型発電所の採算が合わないと言われております。 表向きの反対理由は、このようにして生まれた電力の価格は従来の電気代よりも高いということですが、大阪ガスなど積極的な活動をしているとともに、メーカーでは積極的に研究開発を進めている企業が次々と出てきております。そして日本でもスマートグリッド関連の株価が人気です。

スマートグリッド関連株に人気

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100316/eca1003160506005-n1.htm

スマートメータなどではNTT DOCOMOも熱心に研究しています。 このようなスマートメータの設置には三井不動産や建築会社などの企業はエコ対策として積極的な実験を進めております。

最近では太陽光だけで世界一周にチャンレジするスイスの冒険家、ベルトラン・ピカールさんも話題です。

太陽光発電飛行機:世界一周へ スイス人の冒険家、12年に日本も寄航

http://mainichi.jp/select/science/news/20100306ddm012030020000c.html

そして排出権取引、環境税を導入することで企業はこれまで以上にCO2の排出削減を求められています。

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