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鳩山政権の成長しそうにない新成長戦略!?

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先日、鳩山政権が新成長戦略を発表しました。2020年までにGDPを100兆円増やし、新たに400万人の雇用を創出するという目標です。

米国は90年代の10年間で400兆円もGDPを拡大させたし、中国もこの10年で300兆円もGDPを拡大しています。日本も90年代に170兆円拡大していますので、この成長戦略の「10年でGDPを100兆円分拡大する」構想自体は不可能ではありません。

Sei22 ところが、この新成長戦略を見て「成長しそうだ」と思う事は不可能です。自民党時代にもロクな成長戦略はありませんでしたが、民主政権の案も残念ながら実現性が極めて低いと思われます。

民間企業の経営企画や事業企画がこのような企画書を書いたらおそらく経営陣は即刻却下するでしょう。

問題点が2つあります。

まず第一に10年後の市場が描かれていません。技術経営を勉強した方なら、シナリオプランニングとロードマッピング等のテクニックで戦略を描くでしょうが、この成長戦略には10年後の市場が不在なので、方向の無いアイディア集になっています。よくこれで戦略が書けるなと感心します。

第二に、国と民間の役割分担が無く、誰が100兆円を稼ぐのか分かりません。国が100兆円の補助を出すのか、民間が100兆円を獲得するのか不明です。環境や新エネルギーの産業創出は過去にも3回ぐらい政府主導で大型プロジェクトが組まれましたが、思うように行っていません。メジャーの石油産業が横にいる限り、市場は新たに出来るのではなく、化石燃料から太陽燃料に移動するだけということでしょう。それに、国が100兆円出すのであれば、財源がなければなりません。

すなわち、民主政権の成長戦略は、財源無しにマニフェストが実現できたらいいなと語っているだけに見えます。

いつも同じ比較で恐縮ですが、2004年に米国で立案されたパルサミーノレポートには、「国がイノベーションの基盤を作り、民間が成長して競合国に勝つのだ」という強烈なメッセージがありました。

日本のGDPは90年代後半から15年に渡って停滞しています。要するに自民でも日本は成長できなかったし、民主でも出来ないだろうということだと思います。

国はイノベーションの基盤づくりだけに集中し(法律、教育制度、税制など)、成長を民間に任せる自律型戦略を期待したいと思います。

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