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プロダクトマネジメントとイノベーション

イノベーションは「官」主導で!?

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Irasuto_09_2 先ごろ、官邸主宰のイノベーション25戦略会議の最終報告が公表されました(左図出典:イラストで見る20のイノベーション代表例。本会議は、2025年ごろの日本の「あるべき姿」を描いて、その実現に必要な施策をブレークダウンして立案するロードマッピング手法を取っています。近年の官庁はこの手法を積極的に取り入れていますが、馴染みが無い人にとっては「夢ばかり見てるんではないの?」と首を傾げられることもあるでしょう。

さて、本題は別にあります。この報告を受けて、週末の日経新聞の社説に「イノベーションは民が主導せよ」という意見が掲載されました。イノベーション25会議は政府・官庁の施策を決めるものですから、最終報告の次のアクションは官庁の予算取りになります。日経の社説はこの動きを「懸念」して、会議を単なる予算取りのネタで終わらせるなとクギを刺したのでしょう。

それを否定するものではありませんが、日本は民間のR&D予算が国家予算を超えており、失敗が少なく、事業継続を前提とする「ローリスク型」の継続的イノベーションに投資が向きがちです。

最終報告にあるようなイノベーションにはいずれもハイリスクが伴います。民間なら屋台骨が傾くぐらいの失敗もあるでしょう。したがって、その実行に民間R&D予算を使うのではなく、国家予算をリスクマネーとして注入するケースを多くしなければなりません。

そのためにも、「官」主導で予算をコントロールし、成果物の知的財産権をスムーズに民間へコンバージョンする仕組みを期待します。その具体的な施策として、最終報告にあるような下記の社会制度改革に注視していきたいと思います。

  • 知的財産権取引業の育成支援
  • 大学等の知的財産戦略の強化
  • 若手研究者向け競争的資金の充実・強化
  • 大学の研究と教育両面にわたる国際競争力の強化
  • 社会還元を加速するプロジェクトの推進(特区制度)

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イノベーションベンチャー

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