IBMはオープンソース王子か
IBMがLinuxに10億ドルもの巨額の投資したのは2001年。5年後の今年、LinuxWorldに合わせ、「脱Linux」とも呼べるオープンソースに関する新たな戦略発表をしました。IBMの最近の舵取りは、激闘の中でさりげなくハンカチで汗を拭く斉藤選手のように涼しげです。
IBMは、OSレイヤのLinuxは既に軌道に乗ったとして、オープンソース事業の今後の重点投資分野としてミドルウェア層など次の8分野を発表したのです。
- クライアントサイド・ミドルウェア
- 開発ツール
- Webアプリケーションサーバ
- データサーバ
- システム管理
- オープンハードウェア・アーキテクチャ - Power.orgやBlade.orgによるコミュニティ駆動の協調イノベーション.
- グリッド・コンピューティング
- サービス
この投資に刺激されてSI各社が同じ動きを取り、いよいよLinuxの周辺が次々にマジョリティ期に突入するのでしょう。
ところで、赤く示した「オープンハードウェア」というのが実に不思議で面白そうな分野です。それぞれ、電力管理(Power.org)とブレードサーバ(Blade.org)の仕様をオープンなコミュニティの中で策定し、その関連サービスをも同時に作り上げてゆくものです。これは、オープンソースコミュニティの方式を踏襲しながら、その応用範囲をハードウェアの仕様策定にまで拡げたものです。参加企業は、各々の仕様に基づいたサービスや周辺機器を同時並行的に作り、また、そのアイディアを還元して互いに新たな仕様を追加してゆく・・・非常に新しい試みですね。
世界中の叡智を(タダで)集め、その中から知的資産を作り出し、ビジネスを起こしてゆくモノデルです。小難しく表すと下の図のようになるでしょうか。
MIT教授のEric Von Hippelの説くユーザによるイノベーションがまさに通常のビジネスとして展開されるようになってきました。そのうち、このようなオープンイノベーションで用いられるコミュニティ資本や、そこから創出される知的資産の価値をきっちり表現するようなバランスシートが試験的に出てくるかもしれません。そのとき、このようなビジネスモデルは第三次産業を超えて、第四次産業となるのでしょうか。
などとヘリクツのようなことを考えつつ、グイと腕で額の汗を拭く今日この頃・・・・