「フレームワーク」は時代とともに形を変えるもの
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前回に引き続き、「フレームワーク思考」についてのお話です。
まず、読者の皆様にご愛読感謝の気持ちを込めてプレゼント! です。私が仕事でよく使っているフレームワークを15個選びPDF化してみました。フレームワーク思考の学習に役立てていただければ幸いです。
→ ビジネスパーソンが覚えておきたいフレームワーク15.pdf
そして、今回はこのファイルを用いて「フレームワークは時代とともに変わっていく」というお話をしていきます。画像も出していますがサイズが小さいので、ダウンロードしたファイルを見比べながら読み進めてください。
以前の記事で「神話はいずれ崩壊する」という話を書きましたが、「フレームワーク」も神話の一種と言えるかも知れません。私たちは「3つのC」や「4つのP」というフレームワークをよく使いますが、これらのフレームワークも絶対不変のものではありません。
たとえば...
(1)「3つのC」は顧客(Customer)/自社(Company)/競合(Competitor)から構成されていますが、近年では他社との戦略的提携の重要さを鑑みて「協力者(Co-operator)」を加えた「4つのC」で分析すべき、という考え方が出てきています。
(2)また、マーケティングの「4つのP」は、商品(Product)/価格(Price)/流通(Place)/販売促進(Promotion)から構成されていますが、これに対して顧客価値(Customer Value)/コスト(Cost)/利便性(Convenience)/コミュニケーション(Communication)という「顧客視点の4つのC」と同じから検討すべき、という考え方が出てきています(先ほど(1)で挙げた「4つのC」と混同しないようにご注意ください)。
他の例も挙げてみましょう。
(3)工場の生産管理の分野などでは「QCD」(品質/コスト/納期)というフレームワークが用いられますが、近年の環境問題への意識の高まりを考慮し「E」(Environment)を含めるべきという意見も出てきています、
(4)ヒトモノカネ、と言えば企業の経営資源を示すフレームワークですが、近年の情報社会へのシフトを踏まえ、「情報」を加えるべき、と言われています。たしかに、情報やノウハウも大切な経営資源ですね。また、同様に「顧客(との関係性)」や「ブランド(企業に対する信頼)」という声もあがっています。
(5)また、(今回のフレームワーク集には含まれていませんが)マーケティングの世界では「AIDMA(アイドマ)」(注意/関心/欲望/記憶/行動)という、消費プロセスを示したフレームワークが有名です。
しかし、インターネットが普及した結果、近年では「AISAS(アイサス)」(注意/関心/検索/行動/共有)という、インターネットによる検索や口コミといった特性を考慮したプロセスが提唱されています(ちなみに電通によって生み出されました)。
私の好きな本の1つに「99.9%は仮説」というものがありますが、(これまで見てきたように)フレームワークもあくまで「仮説」の1つであって「真理」ではありません。時代とともに形を変えていってもおかしくないものなのです。
既存のフレームワークを学ぶことはとても意義のあることなのですが、一方でそれらは絶対不変のものではないということも心に留めておいていただきたいと思います。既存のフレームワークを絶対視し、それを疑うことなく使い続けてしまうと、いずれ時代や状況にマッチしないものを使い続けることになってしまう可能性があるからです。
そうならないためには、前回書いたように「フレームワークが自分で作れるようになる」ことが大切だと考えます。自分でフレームワークを作れるようになってくれば、既存のフレームワークを絶対視することも自然となくなってきますし、自分なりのフレームワークに改良するアイディアが見つかるかも知れません。
既存のフレームワークを疑ってみましょう。「4つのC」や「AISAS」に比肩するような素晴らしいフレームワークを次に生み出すのは、これを読んでいるあなたかも知れません!( ̄∀ ̄)
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