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ソフトウェアは私たちに幸福をもたらすことができるのか

国産ソフトコンソーシアムの成功に必要なことは?

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 先ごろ国産ソフトウェアのコンソーシアム設立の報道がありました。「日本をソフトウェア輸出国にする」ことをテーマとしている私としても歓迎すべき動きです。日刊工業新聞の報道は以下のようなものでした。

サイボウズやソフトブレーンなど有力国産ソフトウェアベンダーが集まり、国内外でのビジネス強化策を検討するコンソーシアムを立ち上げる。8月7日に発足説明会を開き始動する。コンソーシアムは「メード・イン・ジャパン・ソフトウェア(MIJS)コンソーシアム」。(以下略)

日刊工業新聞 7月21日(金)11面より

Mijclub  同じようなコンソーシアムはこれまでにもありました。例えば、2004年に三菱商事が中心となって始めたMIJ(Made In Japan)クラブ(右ロゴ)。今回のメンバーでもあるサイボウズなども参加しての動きでしたが、残念ながら大きなムーブメントにはなりませんでした。

 業界コンソーシアム活動の難しさは、それぞれの企業が利害関係を持ちつつも同じベクトルを持って活動するバランスのとり方にあります。バランスのとり方次第で、ただのお茶飲み集団になってしまったり、逆に特定グループの利益誘導団体になってしまったりしがちで、実際私もそういう業界団体をいくつも見てきました。

 今回の国産ソフトコンソーシアムが、そのような業界団体にならずに、本当に国産ソフトの強化に向けた大きな活動母体となるために必要なポイントを、私のこれまでのコンソーシアム、業界団体活動経験も踏まえて考えてみると以下のような点が挙げられます。

1)ナショナリズムに陥らず国際競争力を高める活動となること

 「国産」を旗印にすると、保護政策誘導などの動きになる可能性がありますが、私が以前述べたように「国産保護」は、国際競争力の低下を招きかねません。記事でも「ソフトウェア市場では外資系の勢いに押され、国産ベンダーは苦戦しているのが現状」とあり、国内市場をターゲットとしているようにも取れます。しかし、「勢い」に押されているのではなく、国産ソフトはまだまだ選択肢が少ないし、残念ながらまだ国際的に競争力が高いとは言えません。国内の市場で、国産ソフトを保護したり、優遇したりするのではなく、国産ソフトの競争力が増すような活動をすべきでしょう。

2)営業母体にならないこと

 これまで、業界内では、政府調達の受注のためやIPAのプロジェクト応募のためにコンソーシアム(建設業界でいうJVに相当するでしょうか)を組む例も結構ありました。この場合コンソーシアムは、メンバー企業の営業のための手段となり、コンソーシアムで受注をしてメンバー企業に配分するという形です。もちろん、営業を目的としたコンソーシアムは場合によっては必要です。例えば、小さな企業で集まって不足するリソースを補い合ったりすることもあるでしょう。しかし、「国産ソフトを強化」する国産ソフトコンソーシアムのあるべき姿は、メンバー企業の営業別働隊ではありません。ビジネスの伸張を牽引するという点では、営業ではなく仕組みづくり=マーケティングが主たる活動となるべきでしょう。

3)連携・提携を活動の中心に据えないこと

 業界内の団体では、製品同士の連携などが謳われがちですが、製品同士の連携を中心にしてしまうと「こっちだとできるけど、そっちだとできないでしょ」というように、他に対してクローズとなること、参加するすべての企業に同様のメリットを与えられないことなどから、団体自体が小さく閉じてしまう結果を招きかねません。コンソーシアム自体がクローズ化を助長することを推進するのではなく、連携、提携などはあくまで各参加企業に委ね、コンソーシアムはその機会創出を支援する活動を推進すべきでしょう。

 コンソーシアムの立ち上げ、運営は大変な労力を必要としますし、難しいものでもあります。そのような中で、この活動をリードされるサイボウズ社長の青野さん、ソフトブレーン社長の松田さんに改めて敬意を表します。この新しい国産ソフトコンソーシアムが、上述のようなポイントを的確に押さえ、国産ソフト業界の新しい風となることを期待しています。

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