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[まち塾レポート]静かな公共の図書館が、音のあふれるナイトライブラリーに

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11月16日に誠ブログで紹介した「"人"のライブハウス Autumn2011(まち塾@まちライブラリー)」が、11月23日に千代田区立日比谷図書文化館で開催され、総勢240名が集まる一大イベントとなりました。
 
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左:日比谷図書文化館のホールでのオープニングセッション、右:書棚に囲まれて本について語り終えた後

30以上のセッションに50名以上のカタリストといわれる話者が参加。カフェのオーナー、医者、カウンセラー、経済記者、町歩きの達人、離島マガジンの編集者など、分野はバラバラですが、主催する森記念財団 礒井純充さんが「この人だ!」と思った、組織にとらわれず自分の足で立ってビジネスや社会貢献活動を行っている人が結集しました。
 
オープニングのセッションでは、
「とにかく、何かやってみたい」との思いではじめましたと言う礒井さんに、
「礒井さんの夢、というよりは、道楽に付き合ってこんなにたくさんの人が集まっているんですよね(笑)」
との暖かいサポーターのメッセージで会が始まりました。

生演奏をBGMに聞きながら広報を語る
 
私が参加したセッションは『「広報人生、歩んだ、歩むぞ」本を書いちゃいました』。人数が少ないほど中身の濃い会話ができるということで、1セッションの参加者の上限は5名となった今回の「まち塾」。カタリストとして柴山慎一さんと岡田直子さんと私の3名、参加者は早稲田の男子学生、国際基督教大学の女子学生、ベンチャーの社内広報担当者、そして大企業の広報をつとめあげ今年独立された広報のプロフェッショナル。後半、多摩美術大学の先生が加わり、3名プラスちょうど5名の8名のチームとなりました。
 
このセッションが企画されたきっかけは、まち塾主催の礒井さんが森ビルの広報担当時代から親しくしていた野村総合研究所の広報 柴山さんの本の出版でした。書名は『コーポレートコミュニケーション経営 ―広報戦略が会社を変える』。畑違いの部署から広報に異動し、年月を経て極めていった広報・コーポレートコミュニケーションについて書かれています。広報つながりでベンチャー企業の広報立ち上げ支援をてがけるネットワークコミュニケーションズ 岡田さんが呼ばれ、岡田さんとオフィスをシェアしていて広報的なセミナーをプロデュースしているということで私に声がかかりました。
 
本セッションが開催された3Fでは並行してライブもスタート。普段静かな図書館は、音楽有り・おしゃべり有りの音にあふれるナイトライブラリーへと変貌します。
 
最初に本と自己紹介からはじまりました。
柴山さんは『コーポレートコミュニケーション経営 ―広報戦略が会社を変える』を手にしながら、企業は素材を集め、組み合わせ、お客様に製品やサービスを届けますが、広報も同様にステークホルダーから情報をすいあげ、それを整理して、企業の姿・情報を価値ある情報にまとめて、ステークホルダーに発信することだと語ります。
岡田さんは『求めない』(加島祥造)という本を紹介。同書は「求めない」で始まる詩約100篇を収録した詩集。求めないからこそ広がるし、協力をしたくなる。広報にも通じるメッセージがたくさん入っているといいます。
私は学びの場を作る仕事なので『教育力』(齊藤孝)。教育者はあこがれを伝播する人、という最初の一文を紹介。
 
学生から現役、そして大御所が入り交じった語りの場

トークが始まると、岡田さんから柴山さんへ質問します。
「野村総合研究所のように知名度がある会社でも、広報で苦労されることがありますか?」。柴山さんは「もちろんありますよ」と回答。コンサルティングのイメージが強い野村総合研究所。コンサルタントが活躍する一方、その数に比べて実はIT系のエンジニアが非常に多い。メリットが多い「シンクタンク」や「コンサルティング」のイメージを大切にしつつも、ギャップを埋めて本来の姿を伝える広報活動を大切にしてきたことなどを話してくれました。
 
社内広報を担当する女性が、急成長するベンチャーの社内コミュニケーションを促進する方法について聞くと、カタリストからはバーなどコミュニケーションスペースの設置や、合宿や軽食(ドーナツ)を食べながらの社員の月1交流会など、各社の取り組みの事例が紹介されました。「食べる時間を共有するのは大切」、「成長企業だからこそ、仲良しクラブのような会は実は必要はないかもしれない。会社の方針・目標によりますよ」などの意見が交わされました。
 
学生からは、学生と社会人とのギャップを学生時代になるべく埋めるような方策はないか、社会にあまり関心のない層の学生を底上げするにはどうしたらよいと思うか、などの熱い質問もとびだしました。
 
今回ボランティアで運営に参加し、本セッションのログ(記録)もとってくれた国際基督教大学の田村さんは、「大学生から社会人までスキルを持った方々が、集まっていろいろなことを話す場、素敵だと思いました。本を媒介とすることで、上下関係がなくみんなフラットに話せるのかなと思います。「本は1人で読むもの」「図書館は静かに」というのを覆しているのも新しい!」と「まち塾」に参加した感想をよせてくれました。
 
カタリストと運営スタッフを担当したので、私は残念ながら他のセッションは聞けなかったのですが、心理カウンセリングからみた男女のコミュニケーション理解や心臓外科医が語る医療現場の話、妖怪になりたい!と熱望するカタリストなど、一筋縄ではいかない興味深いセッションが同時進行し、まち塾@まちライブラリーは盛況のうちに閉幕しました。
 
まち塾@まちライブラリー http://www.mori-m-foundation.or.jp/machi/index.shtml

(opnlab 小林利恵子)

*本コラムはopnlabのコラムを転載しています。


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