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あるライダーの死

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ニュース等でお聞きになった方も多いでしょう、先週、マン島でのレースに参加中のモトジャーナリスト/レーサーの松下ヨシナリ氏が、レース(本戦ではなく予選)中の事故で亡くなりました。とても残念です。

モータースポーツを知らない人はレースやモータースポーツ、場合によってはバイクすら怖い、と思うかもしれませんが、それほど単純なことではありません。

マン島でのレース、Isle of Man TTは100年を越える歴史があり、毎年多数の参加者、観客が訪れるそうです。最大の問題は公道コースであること。現代のサーキットは相当に安全にするための対策がとられていますが、公道では到底そのレベルには達しません。マン島TTも残念ながら多くの犠牲者が出ており、日本人では2006年にも前田 淳氏が亡くなっています。

その状態を知って参加していた松下氏は、スポーツではなく、冒険と考えていたそうです。 ただ、冒険と言えど、帰って来てこそ意味があります。

自己責任で参加する人の意思は尊重しますが、危険な公道レースはこれ以上は不要です。日本では、三宅島での公道レースが企画されたことがありますが、識者の意見等によりレース形式になりませんでした。直接のソースは発見できませんでしたが、Wikipediaの記事に宮城光氏の予定コースの評価結果が書かれています。
リスクがあれば全て禁止ではなく、落としどころが現代のサーキット。主催者は最大限の安全対策をとり、参加者はそれを知って各自が判断する。この言葉だけならば公道レースでも変わりませんが、採れる安全対策のレベルが低すぎる。登山のように各自の判断で自然と対決するのではなく、場を提供するのだから参加者の自己責任ではすみません。

怪我をしながらもチャレンジし続ける松下氏はかっこよかった。しかし、生きてもどってこれなかった時点で駄目。
これを書いている時点で氏の体はまだ日本にもどってきていませんが、冥福を祈りたいと思います。

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