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iOS 6の地図

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悪い意味で話題のiOS 6マップアプリ。皆さんもご覧になりましたか? (ITmediaの記事) 実際に問題なのはアプリではなくて、OSの機能として提供されている地図データです。したがって、それを使用する全てのアプリに影響してしまいます。
明らかな誤りは、羽田空港に大王製紙と書かれていたり(なぜか英語版では大丈夫)、JR大崎駅のすぐとなりにJR工場があったり、大崎広小路駅の位置が全く違ったり。
使えない点は、鉄道がある程度細かい縮尺でしか表示されないとか、交差点名称が無いとか。USではいいかもしれませんが、日本向けとしては交差点名が入っていないのも致命的。また、道路名称の読みを持っていないようで、ナビ機能での読み上げがひどい。僕が試した時は、「街道」を「まちみち」と読み上げました。
地図の表現は道路地図としてはきれいで見やすいですが、建物の配置が少ないので、徒歩用に使うのは困難です。

これらはベータ版のころから、いろいろ指摘されていました。僕もベータ版の地図を見て、ベータの間はサーバーの負荷を落とすためとか、あえて機能を外部に見せないためとか、の理由でわざとデータのレベルを落としていると思いました。残念ながら見事に外れ。
地図に関わるデータは、基本的なデータを制作している会社から購入し、自社目的にあわせて変換して使うのが普通です。Appleの場合、根本の変換プログラムが素人レベルの感じがします。AppleのQAが出荷を認めた理由がわかりませんが、MobileMe以来のひどい製品です。

測地系の違いによると指摘する人もいますが、違うでしょう。羽田空港が大王製紙になっている例では、ずれている距離も方角も違いますし、海外でも同様な問題があるようですし。
日本向け地図はインクリメントP社のようなので、Google他に提供しているゼンリン社のデータならばこんなことは無かったとの発言を見たことがありますが、関係ありません。インクリメントP社のデータならば、同社のサービス、MapFan Webを見ればわかります。激しいミスをしているのは、Appleです。今のAppleの手にかかれば、ゼンリン社のデータであっても、このレベルになってしまうはず。
US他の地図を供給しているTomTomも彼らに対する非難に困っているようです。こんな記事が出ています。TomTom: Don't Blame Apple Maps Problems On Us!

どうも地図の素人が、複数のデータを自動的に割り付けして失敗しているような感じがすると思っていたら、同じ考えの人がいるようで、より具体的に指摘しています。Appleは専門家を雇うべきだ、とまで書かれてしまっています。それとは独立して、Appleは地図関係の技術者を雇おうとしているようです。遅過ぎますが、早く改善してほしい。

Appleの20日の発言とされるものは表面的で、よくある広報のお詫びのようでお詫びでない文章。"多くの人が使えば、もっと良くなる"なんて(“the more people use it, the better it will get.”)。こんなことで済むレベルの問題ではありません。

同じ頃、iOS 6 iPad版 時計アプリのデザイン盗用が指摘されており、こちらもとても残念です。
iPhone 4のアンテナ問題の時のAppleの対応は際どいものでした。今回はそこまでいかないように素早く対応することを期待します。

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