「矛盾」と「違い」の違い
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「矛盾」というと、韓非子の「矛盾」、形式論理学上の「矛盾」、そして弁証法上の「矛盾」など意味の近い使い方がある。多分論理学者や哲学者以外に、これらの「矛盾」の違いをはっきり言える人はそれほどいないだろう。
「数学の嫌いな人のための数学」(犬は四本足であるで紹介)という本で、韓非子の「矛盾」と形式論理学上の「矛盾」の違いを分かりやすく解説されている。
しかし、同書のこの二つの「矛盾」の違いを解説するセクションに”韓非子の「矛盾」とアリストテレスの「矛盾」は矛盾する”というタイトルをつけられている。
同書のこの二つの「矛盾」の違いの解説は分かりやすいが、タイトル中の「矛盾する」の「矛盾」はどの意味の「矛盾」だろうと悩んだことがある。
最近になって、ふと著者の「矛盾」の使い方が間違っていることに気がついた。
著者が「矛盾」を「違い」の意味で使っていた。弁証法上では、「矛盾」を「違い」と同等にみることができるが、同書のあのセクションタイトルには「矛盾」を「違い」の意味で使うことができない。
同セクションのの中でも、”韓非子の「矛盾」とアリストテレスの「矛盾」。同じか違うか。論理学理解の関門である”と書かれ、「矛盾」ではなく「違う」ことばを使っている。
このブログのタイトルも”「矛盾」と「違い」の矛盾”にすると、明らかに可笑しい。形式論理学的にいうと、概念の混同であろうか。
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