身近なクラウドコンピューティング
このプログの本題は、Microsoft Office 365 が実現する新しいワークスタイルについて検討をしていくことです。
そこに入る前に、私昔から実行しているクラウド活用の一端をご紹介します。
最近、巷ではEvernote というアプリケーションを良く耳にしますが、マイクロソフトには OneNote というアプリケーションがあることをご存じでしょうか? デジタルノートということで、すでに2003年からOffice ファミリーとして提供しているものです。
これは使いやすさ、という意味では抜群に使い易い。
非常に多くのマイクロソフト社員が、会議のメモなどは OneNote で取っています。私もその一人です。
ところで、私は3台のコンピューターを利用しています。会社のデスクトップ(なんと言っても2台のディスプレーをつないだ広いデスクトップとパワフルなマシンの環境は快適です)、会社のノートブック(会議などにはこれを持参します)、自分の個人用の持ち歩いているノートブック(外出時にはこれを持って行きます)です。これら3台で同じ情報を維持するのは以前だったら結構大変でした。ちなみに、データ自体は、2カ所です。デスクトップには日々利用しているデータは保存しておらず、ネットワークドライブで会社のノートブックを参照しているからです。
幸いなことに、OneNote には、自動の同期機能があります。これとクラウドをあわせるととても便利になります。
私は、OneNote の元ファイルを Skydrive 上に置いています ( Skydriveについては、こちらを参照してください )。これで各PCのデータの自動同期をしている。そうすると、1台のPCで書き込んだり修正したデータは、Skydrive のデータに反映され、それがまた他のPCに自動的に反映されます。
これで、ファイルをコピーし忘れたり、もろもろの面倒な手続きなしに、いつでもどのPCでも最新の情報が共有されていることになります。
なぜ Skydrive においているかって? いちいち会社のネットワークにつなぐのが面倒だったからです。Skedrive であれば、Windows Live ID でサインインしておけばいつでも勝手につながってくれます。
同じ OneNote を利用して、ベンダーなどとのビジネスパートナーとの情報のやり取りにも利用しています。Microsoft Online Services のサイトメンテナンスも私の役割ですが、11月に大幅リニューアルをしました。その際にプロジェクトマネッジメントをするAgencyと実際の作業をするベンダーといくつかのビジネスパートナーとのやり取りが発生しました。しかし、サイトの修正ということになると、すべてを文章にして表現することが面倒なことも多々あります。そういう場合には、OneNote に簡単に画像を取り込んで、コメントつけて、というようなことが出来ます。
そしてこの場合は、同じ元ファイルを SharePoint (SharePointについてはいずれ取り上げますが、情報の共有と共同作業のためのアプリケーションです) において、各パートナーと同じ情報を共有しました。私のリクエストを OneNote に書き込んでおけば、そのファイルを共有しているみんなが自動的に知ることが出来るわけです。コメントを作成して、それを送信する、というような手間は不要です。自分の思っていることをノートに書き込むと、それを各ビジネスパートナーが勝手に参照して、必要ならばフィードバックやアドバイスをくれるし、そのままで良ければ作業が進む、といった具合です。
タスク管理をするためのExcelファイルも OneNote に貼り付けておけるので、あわせて利用すると本当に便利でした。
ちなみに、Direct Accessというテクノロジーの導入により、今ではマイクロソフトのネットワークに入るのに特別な認証手段を講じることなく実現するようになったので、SkyDrive を利用しなくても特に面倒なことなしに社内の SharePoint に置いておけば、自動同期が可能になる環境となりました。
特別な認証手段を講じることなく社内のネットワークに入れる、と書きましたがセキュリティは万全です。念のため。これを実現するには、Bitlockerでコンピューターが暗号化されており、立ち上げ時には、Windowsの認証PWとは別にPINコードをいれる設定にしておくという設定が必要で、その上でコンピューターが認証されて初めてDirect Accessが利用可能になります。
とはいえ、Skydrive上では、OfficeのWeb版が利用出来て非常に利便性が高いので、現在でもそのまま利用を続けています。
で、何がクラウドコンピューティングと関係があるかって?
Skydriveです。Windows Live 自体が今言われるところのクラウドサ-ビスです。SkydriveはそのWindows Liveの提供するサ-ビスの一つです。25GBのストレージを提供しています。Hotmail はすでに15年にもわたって提供し続けているメールサービスです。これはGoogleの設立よりも早い時期からのサ-ビス提供です。ところでHotmailは容量無制限というのはご存じでしたでしょうか?一生のメールデータを Hotmail で保存しておく、というのも可能ではないでしょうか?
おそらく多くの皆様が意識して、ないしは無意識にクラウドサ-ビスを利用しているはずです。
これらのクラウドサ-ビスはプライベートな利用から普及してきました。しかし、現在のクラウドの潮流は、ビジネスの領域でいかに利用するか、という次元にまできました。
その場合に大切なことは、ビジネスにはビジネスの要件がある、ということに留意することだと思っています。ワークスタイルとライフスタイルはメダルの表裏という密接な関係ではあるけれども、決して同じ面で論じることは出来ないと思います。
同様にプライベートとビジネスは明確に論じる次元が異なります。この点についてはいずれまた振り返ります。
次回は本題のOffice 365 について少しふれる予定です。