ゆっくり話すとは、物理的にゆっくり話すのではない話
ずっとプログラマとして指を鳴らして、、、指はおかしいですね。腕を鳴らしていた社員が、最近お客さんのところに行って提案営業をするようになってきました。
「営業ー?最悪ー。プログラマなのに会社都合でそんなことさせられてかわいそうー。」
と思うなかれ。
営業と言ってもすでにシステムを導入されているお客さんへの更なる機能追加のご提案なので、これ自体結構クリエイティビティな仕事です。
だいたい受託開発の会社が、自社サービスやってる開発会社に比べて何が面白いかというと、一番はここでしょう、と思うわけです。
で、彼の場合、もともとバックグラウンドの知識や経験は十分にあるので、ヒアリングの要所もわかりますし、その場で口にする工数見積りも精度が高いです。
ただ、半年くらい前にやはり営業同行した際には、帰り際に「説明が早すぎる」というのを指摘した記憶があります。
『開発者同士の仕様説明なら、そのスピードでも理解されるかもしれないけど、お客さんの本職はシステム開発ではないからね。もっともっとゆっくり話した方がいい。』
と。
そして昨日。半年ぶりくらいで同行してみたら、彼の説明は格段に向上してて驚きました。
たとえばこんな仕様説明。
それでは次に[2-1]の在庫数一括変更機能です。この機能は、この画面のこのあたりに「CSVダウンロード」のボタンを配置し、それを押すと現在庫の一覧がダウンロードできます。それをローカルのExcelなどで適宜修正し、それをその横の「CSVアップロード」ボタンを押して取り込みますと在庫が一気に変更される、というものです。
この説明をこんな風に無駄なく言ってしまうと、時間当りの情報量の多さにお客さんはついてこれません。
ではということで、話すスピードを単純に落として「そぉーれぇーでぇーはぁー、つぅーぎぃーにぃー」などと話すと、時間当りの情報量は減りますが、普通にイライラします。
昨日の彼はそれをこんな風に話していました。
それでは次に[2]の在庫管理のところに進みます。[2-1]から[2-5]まで項目が並んでますが、そのうちの[2-1]の在庫数一括変更機能についてご説明しますね。(顔を上げて、お客さまが資料の該当箇所を見ていることを確認)この機能では、この画面のこの場所に「CSVダウンロード」のボタンを配置します。まず、それを押すと商品名と現在庫の一覧がダウンロードできます。
そこにはシステムに登録されている在庫数が落ちてきていますので、それをローカルのExcelなどで実際の在庫数に適宜修正していく、という感じです。(顔を上げて「違和感ないでしょうか?」の雰囲気)
それが終わったら、「ダウンロード」ボタンの右あたりに「CSVアップロード」ボタンというのを配置しますので、それを押して、さっき作ったファイルを選択しましてアップロードしますと、データが読み込まれて在庫が一気に変更される、、、という仕組みです。
「ゆっくり話す」というのは、相手の理解の速度に合わせて行ったり来たりしつつ、確認なども織り交ぜながら丁寧に説明するということですね。
歩調を合わせて待ってる間に、やや冗長的で当たり前の文章を入れることで、聞いている方は「自分がここまで正しく理解できている」ことが確認でき、普段の会話の速度が維持でき、急かすような雰囲気もなくなります。
これ、結構難しいですね。
(一部内容に脚色あり)
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