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もしも洞察力があったなら……。

子どもをネットから守り、ネットで育てる 頼れるお父さんになるための実践アドバイス(感想文としてその1)

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読んでいる途中なのに感想を書くのも何なのですが、できるだけ早くこの本を、世の中のお父さんたちに勧めたいと思った次第です。今回は、表題の、

子どもをネットから守り、ネットで育てる 頼れるお父さんになるための実践アドバイス
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子供の世界に大人が安易に入ってはいけない、という不文律がありますが、実際にネット上で子どもへのいじめを捕捉しながらも、その不文律により不介入でいることにジレンマ。しかし、どのように入っていけばいいのかわからない。自分の子供が同じ目にあったとしたら、自分はどのように行動をとるべきだろうか。そんな、悩める親に指針を示してくれそうなのがこの本です。実際のエピソードを交えて、具体例を示しながら描かれているため、必ずしも万人のケースに当てはまるわけではないでしょう。しかし、父親が原則的に持っているであろう大原則--家族への愛情--を貫くために、どのように立ち振る舞うべきかを充分に考えさせてくれる、と思いました。まだ前半の途中ですが、とても印象深い箇所を引用します。

ネットで子どものいじめに直面したときに、最初に判断を求められるのが「誹謗中傷を削除するか、無視するか」です。しかし、無視してエスカレートした例もあれば、コメントを削除させた先生が自分の家族を含めた大きなトラブルに巻き込まれたという例もあり、判断が難しいのです。
(中略)
(しかし)他人のコメントがつかず、いじめが盛り上がらない、すばやく次々とコメントが削除されてしまう、相手がいじめられていることに気がつかない、相手が動揺しない、といった場合には面白くないため、いじめは急速に収束に向かっていきます。(26pより)

まず、いじめに対して一次対応のスタンスを決めることが重要だと理解しました。この入り口の判断をし、そして、介入(あるいはコミュニケーション)をどのように行うかを検討する、という戦略が見えてきます。

また、そもそもいじめが発生していることを把握することも重要と指摘があります。著者吉田さんの指摘では、「そもそも、子どもが相談してくるぐらいの親子関係ができていない親に、子どもの問題の解決や予防はできません。」(42p)というものです。辛口ではありますが、的を射ていますね。ここでは、結論として、まず、「お父さんと2人だけの場を定期的に作る」ことを薦めています。普段から、お父さんと話をしなれていることで、今実は一番うれしいことや、つらいことなどをリラックスして話をしてくれる、というものです。「子どもが相談しやすい、頼れるお父さん」(45p)であることは、とても重要なのですね。

少しそれますが、これを、「威厳のない友達みたいなお父さん」と解釈しないほうがいいと思います。親しみやすく頼れることと、威厳はまったく違うものだからです。何でもかんでも上から目線で叱り飛ばす人が親だとしたら、自分が本当に困っていることを、話をする気にはなれませんよね。そして、これは威厳でもありません。父親が、威厳を保つために必要なことは、子どもを叱り飛ばすことではなくて、尊敬をされることだと、私自身、日々感じています。尊敬されるためになしうることはたくさんあると思いますが、たとえば家族との関係で言えば、ひとつは「本気で想っていることを伝え、時に表現し、取り組む」ことであると考えています。著者は、かなり熱く、これを実行したのではないでしょうか。ですよねぇ、吉田さん?

さて、第2部の「頼られるお父さんになるためのコミュニケーション方法」では、メールの活用や、コーチングの応用で醸成した家族のコミュニケーションを紹介しています。(きっと、その2へ続く)

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