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もしも洞察力があったなら……。

トヨタのF1撤退は、将来に影響するか。

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少し前になりますが、豊田章男氏がトヨタ自動車の副社長だった頃に、たまたまお目にかかる機会に恵まれました。そのとある集まりの席上でのご挨拶。

「環境問題や経済不況下において、自動車産業の存在意義が問われている。私は今一度、世の中に、自分たちが本当に必要かどうかを問いたい。そして改めて、自身の意義を確かめて、将来を創っていきたい。」(一語一句を正確に表してはいません。趣旨のみにてご了承ください)

私はしびれました。こういうのは、サラリーマンから出てくる言葉ではありません。すべてを俯瞰した帝王にしか言えない言葉でした。真のリーダーとは、こうした本質的な言霊でその能力を発揮するのだな、と思ったのです。

さて、昨日、トヨタのF1撤退ニュースが流れました。現トヨタ社長の豊田氏は、「残念だが、必要な撤退」、という趣旨のコメントをされました。この大英断は、日本の車会社のF1参戦がなくなったことを考えると確かに残念ですが、明日のために、未来のために必要な措置であることを、遠くを見通したリーダーが決めたのだと、納得をするようにしました。

*ご参考:会見の模様へのリンク

ライバルのホンダもF1は数年前に撤退しました。周知の通り、ホンダの主力事業体は車かもしれませんが、飛行機やロボットも、一輪車も作るし、ゴミ処理機など、エコ製品も製造販売したりしています。ホンダは、車が必要なくなったら、なくても大丈夫な未来創造をしてきたのかもしれません。

トヨタは、車が中核ですし、周辺機器やサービズの開発は、それ自体が新規事業というよりは、車の進化のために行なわれていたかのようです。もしかするとトップ企業であるが故のイノベーションのジレンマがそこにあったのかもしれません。しかし、トヨタが総力を挙げて、車の会社から、未来を創る会社に変貌を遂げることが出来たら、ものすごく大きな変革が起こせそうです。燃料問題、環境問題、交通・安全問題など、自動車会社は社会問題と密接なかかわりを持っています。だからこそ、イノベーションを発動するために、これからの本当の存在意義を世に問いかけて、躍進していくのだろうと期待をしています。

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