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もしも洞察力があったなら……。

PR2.0研究会

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某金融系専門ジャーナリストが幹事となり、十余名の事業会社の方々と、「新しい広報」について語り合った。

いわばPR2.0研究会である。示唆に富んだ、有意義な時間を過ごさせてもらった。幹事をはじめ、参加された「先進的かつ好奇心旺盛」な方々に感謝。

さて、PRという役割は、今、パラダイムシフトを迎えている。

かつて、他に選択肢のなかった市民は、メディアというビジネスが供給する情報を受け取り、日々の政治、経済、社会活動へと応用をしてきた。

今日、市民の情報源という選択肢は無数である。

こうして私がブログを通じて自由に意見を述べ、Twitterを通じて今見たこと聴いたこと触れたこと思ったことを流し、それらをフォローしあう時代。

本当に時代は変わった。

PRの仕事についてこんな刺激的なことを言う人がいる。

ソーシャル・メディアはPRを死に至らしめるものではありません。そうではなく、PRそのものこそが今重大な存亡の機にあるのです。もっとも、そうした状況はメリットが全くないということではありません。おそらく今日に至るまで、最悪の敵はわれわれ自身だったということではないでしょうか。
(中略)
はっきりと言えば、お粗末な内容のプレス・リリースを聴衆に向けて闇雲に発信する慣行は死に至ったということです。PRは必ずしも死滅したわけではなく、ソーシャル的な止血帯をあてがうことなしには出血して死んでしまうということなのです。(意訳あり)

http://www.briansolis.com/

情報は一方的に流す時代は終焉を迎え、双方向になる。また、メディアを唯一の手段だと思うPRは重大な危機を迎える、というもの。

リスク管理の側面で言えば、情報をただ垂れ流すことに私も賛成しない。内部の機密情報が利害を対立する関係の相手に流れてしまうことは、すなわち企業の弱体化を誘発するからである。

企業はガイドラインを作るべきではないだろうか。そのガイドラインの周知徹底を行い、それに即したコミュニケーションを推進するのが望ましいとさえ思う。闇雲に禁止したり、何のアナウンスもなく外部情報へのアクセスができないようにするだけでは、コミュニケーションという大きな力を活かすことはできないのではないか。

ソーシャルメディアコミュニケーションのガイドライン作成のポイントは、原則主義的か、細則主義的かにある。これらは、必ずしもどちらかが一方的にいい、というわけではない。企業のカルチャーにとってどちらが望ましいか、充分検討すべき事項と言える。

例:
原則主義:最も効率的でリーズナブル価格の交通手段で出張してください

細則主義:国内出張の場合、大阪ならば新幹線の自由席で行かなければならない。横浜までは在来線を使うこと。
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原則主義の場合、ユーザ(情報発信者)には大きな責任が課せられる。多くの裁量権をユーザが得る代わりに、実質的にどうであったかが常に問われ、こうした責任を問われた場合には相応の処分を覚悟しなければならない。

細則主義の場合、責任の範囲は狭い。同時に、できることも限定的だ。リスク管理の面では、その細則に従ってさえいればユーザーは多くのトラブルを回避できるといえる。

こうしたガイドラインを作っている企業は日本ではまだまだ少ないと認識している。先進的なコミュニケーションのリーダーたちがこうした活動を早期に検討し始めることが待ち遠しくて仕方がない。

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