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もしも洞察力があったなら……。

100年企業が破綻する理由

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昨日の経済ニュースのトップは、100年続いたゼネラル・モーターズのチャプターイレブン申請だった。77年間も世界の自動車販売台数トップに立ち続けた栄華をよそに。

企業寿命はおよそ30年と私は学んできたが、同社は100年もの間、世界でもっとも有名な企業として存続を成し遂げてきた。今回の同社の破綻という大きな出来事から、私たちは何を学べるのか。

ニュースを目にしたときに浮かんだ質問は次の3つ。

  • イノベーションはあったか
  • グローバリゼーションはあったか
  • ターゲット顧客の要望を理解していたか

きっと、私のような者が指摘をするまでもなく、それなりにあったのだろう。しかし、充分だったか。

イノベーション:
果たして車の会社の人が、ガソリン燃料以外の方法での駆動とか、タイヤを使わないマシンの開発とか、つまり、それまで当たり前とされていた常識を覆すような変革を是として、優先順位を上げて取り組んできたかどうか、である。歴史を紐解いてみると、電気自動車の開発や、ハイブリッド車対応は近年行ってきていたが、長続きしなかったり、他社に比して後手に回ったりというものだった。足かせは、利幅の大きい大型の車両の開発と供給に歯止めをかけることができなかったことだという。高収益事業が自らの成長の足かせになるという、典型的なイノベーションのジレンマに陥っていたようだ。

グローバリゼーション:
グローバリゼーションの推進には、単一国収益モデルからの脱却が不可欠である。グローバル企業とは、地球を市場とみなし、各地域・国ごとの市場を把握し、現況やモーメンタムにしたがって資源の配分を自在に行っていく戦略企業のことを言うと考えている。これを前提にした場合、南北米や欧州の一部はともかく、アジア市場でのリソース投入について力のある話はほとんど聞こえてこなかった。もとより小型・高燃費車、欧州車が台頭している中、市場参入自体が簡単ではなかったわけだが。いずれにしても北米市場がビジネスの中核を成し、それが大きく変わることはなかったのだ。(ゼネラルモーターズ社2008年度10-K参照)

顧客:
誰よりも顧客のことを知る。そのための尽力を同社は多角的に推進してきただろう。しかし、その本当の姿は映し出されていただろうか。目の前にいる、古き、強き車の会社のファンに対してのみ対応し、ガソリン代で悩み、税金で苦しむそのほかの顧客にも、優先順位を上げて取り組んできただろうか。あるいは、軽視をしなかっただろうか。これまで培った繁栄にひたすらパッチをあて続けることでなんとかやり過ごそうとはしなかっただろうか。*1990年、サターン・ブランドをアジアに戦略投入をしてきたが、残念ながら日本では浸透しなかった。

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これだけ歴史のある、巨大な会社がたった3つの視点だけで全容を語れるはずもない。しかし、もしこの重大な出来事を私たちが他山の石としたならば、私たちの未来は少し違ったものになるかもしれない。

そして、未来に課題を抱えているすべての企業(あるいは、個人でも)は、今一度、学ぶべきことはないかと、これらのことについて思考をめぐらせるべきと思う。

(個人的意見です。)

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