コスト削減は、コストをどう考えるかによる
(かなり出遅れましたが、ばんちょーと遊ぼう企画に呼応しています。念のため。)
コストを削減する、ということは、無駄を省く、ということにも理解できます。無駄というのは、価値が認められないことへの支出。つまり、価値がなければ小額でも無駄ですし、反対に、価値があれば高額でも有意義、ということです。そして、必ず問題になるのが、この価値とはなにかってことですよね。
価値とは何でしょうか。
ここでは、価値とは、効果である、と翻訳します。効果のある支出とは、相対的な益そのものです。予算がなくなったときに発注先へ「とにかく安くしろ」と願いいれることで相手は安くしてくれるかもしれませんが、長期で見た場合には疲弊を誘発してしまいます。むしろ、事業のプロセスを改善する---自動化したり、集約したりする---ことで時間短縮という益を得ることもコスト削減のひとつですよね。
重要なのは、コスト削減、とは目の前にある金額を下げることがすべてではない、ということへの気づきです。
上手な例かわかりませんが、取引先への訪問をする場合に、追加料金の必要な特急電車に乗るか、通常運賃の鈍行に乗るかということだと思います。コスト削減=支出を減らすであれば、迷わず鈍行でしょう。しかし、もし、急行電車に乗ることで、確度の高い商談をあと1件増やせるのであれば、乗るべきかもしれません。瞬間的に経費が上がったとしても、時間を味方につけて商談を取るという、生産性をあげることができるのであれば、充分ありうる話でしょう。
気をつけなくてはいけないのが、間違った選択とは、急行に乗ろうが、鈍行に乗ろうが、一日の生産性(例えば商談の数)が変わらないのに急行に乗ってしまうことです。鈍行に乗っても生産性が同じだとしたら、合理的な選択であるとはいえません。重要なのは、果たしてそのコストが必要か否かの、見極めをしっかりとすることです。
コストを削減するということは、生産性を上げる、ということでもあります。時間を味方にして、より多くの機会を創出することが必要なのだと思います。
余談ですが、個人消費の観点でも見てみます。趣味への投資は喜びの獲得ですから、これによってさらに明日もがんばろうとか、モチベーションを向上させる一助になるのであれば結構なことだと思います。一方、自戒をこめてですが、私たちが気をつけなければならないのは、さして喜びはないのに、「今まで続けてきたから今もそうしている」という支出です。もう飽きたのに、全部そろえようと思って買い続ける漫画や模型、CDなどもそうかもしれません。また、誘われたら断らない主義が手伝って、つい出向いてしまう飲み会もそうかもしれません。とにかく、その支出をするたびに、どんな効果があるのか。自身にアドレナリンが沸いているのかなどの評価をしていく必要がありそうです。