【貧困大国アメリカ】オバマ政権誕生前に考えてみた。
お金持ちがいいものを食べ過ぎて太るわけではない。貧困にあえいでいる人々こそ肥満傾向にある、という衝撃のレポートが書いてあるのは、堤未果氏の「貧困大国アメリカ」。
体の大きな米国の人を見ると、
「ジムに行かずにファーストフードばかり食べるからああなるんだ」
というのが一般的な日本人の反応。しかし、実態は社会システムがそうさせているという衝撃の内容なのです。
所得が充分でない人々が日々を生き抜くために利用するのがフードスタンプ。ミシシッピ州とルイジアナ州は(当時)全米で最も貧しい州のグループに属しているそうです。例えばルイジアナ州では住民のふたりに一人がフードスタンプを利用しているなど。(このルポは2007年に書かれていますので、現状は多少異なっているかもしれません)
フードスタンプを使ってスーパーで買い物をする人たちが向かう先は、調理器具も、調味料もいらなく、少ない予算でお腹一杯になる食べ物のコーナー。生き延びるための食べ物として、マカロニ&チーズやお湯をかけるとすぐにお米ができるインスタントパックや、スナック菓子、二ヶ月経ってもカビのはえない食パンなど、カロリーが高く、長持ちするものを選択するのだそうです。
これらのインスタント、あるいは加工食品は人工甘味料や防腐剤などが使われ、一方栄養価は乏しい、という指摘がなされています。こうした食材を選択せざるをえないという環境が、肥満を助長させる大きな要因のひとつとして描かれています。
さて、景況感の変化で、有機野菜を中心に健康指向を提案してきた「Whole Foods」というスーパーは、食材自体が高価となっていたこともあり、最近の集客は低迷しているようです。価格は安くなればなるほど、大量、人工、脂肪、という安くてまずくない食材が沢山流通しているという現象がおきているとのこと。(SPAMが売り上げを伸ばす、というのはまさにこのことなのですね。)
金融危機が引き金を引いた世界的な大不況。
オバマ政権が何かをつかみ、再生の糸口を見出すとしたら、貧困の支援システムと悪しき食糧事情というのがトピックのひとつになるかもしれない、と考え込んでしまいました。