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もしも洞察力があったなら……。

大企業のウェブはなぜつまらないのか

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【読後感想文です】

本荘修二氏著の同名の書を読みました。2007年発行のため、めまぐるしく変わるxx2.0の世界では、もしかするとすでに古くなっている情報があるかもしれません。特に、企業によるブログの活用については、私の知る限り、この2年程が急速に進展しているという認識もあり、早くも昔日の感は否めません。

とはいえ、多方面の情報を的確に整理して、来る(あるいはキテイル)2.0型コミュニケーションのあり方について実態の検証と将来展望が描かれている点で、かなり勉強になる文献です。

タイトルは、衝撃的。自社の情報を一方的に述べるだけのコマーシャルの終焉。確かに、ほしい情報があってプロアクティブにベンダーに問い合わせる(あるいはWebでアクセスをする)ユーザーはいなくなることはないが、それがリピータとなり、ファンになり、投資(あるいは購買)をする一連のアクションに結びつくためには数多の改革を乗り越えなくてはなりません。そして、ネット社会を無視することは最早できなくなっているという現実。

今日、おりしも未曾有の危機云々が取りざたされ、有力Webサービス事業会社ですら業績の停滞感を示している今、企業はどのようなコミュニケーションをマーケットとしなければならないのか。その切り口から導かれるディレクション(針路)は、大変に僭越ながら、私なりの考えと一致していました。本荘氏のアプローチはもっと具体的で、論理的で、実践的でありますけれども。

さて、企業がxx2.0を推進するに当たって立ちはだかる大きな壁。すなわち、保守的であり、従来型コミュニケーションをよしとしていた企業が、ネット社会への参加という大きな転換を図るときに直面するブログに対するFUD(ファッド=Fear, Uncertainty, Doubtという物事に対する不安感情)について触れていたのでご紹介します。

  • ネガティブコメントに対するFUD
  • コントロールできないことへのFUD
  • 機密漏えいをするかもしれないというFUD
  • 競争相手に手の内がしれるかもしれないというFUD
  • ROI(費用対効果)が見えないというFUD
  • 読者が少なく、かえって効率が悪いというFUD
  • 社員が問題を起こすというFUD

*219pより

これらの不安をどう乗り越えるのか、どう渡り合うのかが、まさしく次世代企業のチャレンジなのだと考えます。

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