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もしも洞察力があったなら……。

グローバルで効果的にビジネスを推進する法(バンコク発)

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Cimg0868 グローバルコミュニティの一員として仕事をするためには、そのコミュニティの中で効果的なコミュニケーションをしていくことが必須です。ということで、本日のセッションは「Global Business Effectiveness」。ファシリテータは米国から来訪したコンサルタント。なんと日本やアジア諸国にめっぽう詳しい韓国人です。

古典かもしれませんが、このようなジョークから。

とある客船が氷山にぶつかったために沈みかけている。乗客は避難を余儀なくされた。用意されている救命ボートは乗客をすべて乗せきることができない。つまり、何人かは命をあきらめなければならない状況だ。キャプテンは次の人種の人たちに、次のような言葉を投げかけて、ボートへの乗船をあきらめてもらったという。

英国人には「他人に譲って、英国紳士であり続けたいですよね。」
米国人には「乗船をあきらめたなら、アメリカンヒーローになれますよ。」
ドイツ人には「乗船しないというのが、命令です。」
日本人には「他の方もそうしていますよ。」

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人種をデフォルメしたジョークなので、その個々の適切さは置いておきますが、つまり、カルチャー(文化+成り立ち、あり方)の違いによって、コミュニケーションの手法が異なってくる、ということです。このセッションでは、インド、オーストラリア、中国、韓国、日本など、アジア諸国の連中がお互いにどのように認識し、それらを受け入れ、そして協調していくのかを学びました。

以前話題にしたことがある、高コンテンツvs高コンテクストコミュニケーションについても言及がされます。やはり、グローバル社会においては、以心伝心、一を聞いて十を知るなど、言外のメッセージによるコミュニケーションスタイルが特長的なのか、ヨーロッパを含めた諸国の中で極めてコンテクスト度が高いと分析されています。(日本での最近の流行り言葉がKY--空気読むor読めないだなんて、まさにこれを象徴していますよね)

アクロニムズ--省略語で、CYAというものがあります。CheckYourAssumptions・・・貴方の憶測を確認しましょう。それが客観的な事実なのか、それとも、ある視点から見た憶測なのか。グローバルコミュニケーションでは、この異国人種への思い込みが集約されることなのだと学びます。

セッション中盤で実践したのは、セオリーを体感すること。受講者が複数のグループに分かれ、トランプでゲームをします。ルールは、英文で配られた紙に記載されているのみ。3分で内容を把握し、ゲームを始めます。もし把握し切れなければ、他者がどのようにやるのかを学び、それを実行するというもの。ルール記載の紙を見た瞬間から、一切の私語、筆談は禁止されます。順調に1ゲームを終えた時点で、分かれたテーブルそれぞれの、勝者と敗者それぞれが、他のテーブルに移っていきます。

種明かしをすると、各グループに配られたルールがそれぞれにまったく違うもの。つまり、コミュニケーションが断絶されたときに、どのようにルールがそのテーブルのゲームを支配していくかを体感するのです。私のテーブルでは、中国系のリーダーがゲームに負けるまでそのテーブルを支配していました。一言も発することなく、ゼスチャで次に何をすべきで、誰が勝ち、誰が負けたのかを指図していました。オーストラリアのプレイヤーが参加すると、ゼスチャで「私の認識しているルールと違う」と言葉にならないクレームを表現(口ではいえませんので)し始めます。そして、最後に、その中国系の支配者が負けて他のテーブルに移ると、事態は一変。オーストリア人のルールでゲームは進められるのです。

つまり、ローカルルールで実践していることが、外来のルール適用によってローカルチームがストレスを感じ、混乱が発生する。しかし、その支配が解けた瞬間に、外来のルールの速やかな適用が進むのです。Think Global, Act Local(Glocal)のデフォルメされた姿がここにありました。

ハーバードのJeswaldSalacuse氏によるメッセージは
「国際交渉における第一のルールは、相手のカルチャーを知ること。第二のルールは、その知識に依存し過ぎないこと。」と説いています。うーん、深い。

日本では想像がしきれない他国の具体的な事例とともに、議論も盛り上がりました。年齢に関わらず、沢山の学びができていることを、すばらしいと思うのでした。

明日はM&Aのケーススタディとプレゼンテーションです。


*傍白・・・昨晩は、日本語が恋しくなって、セッション後に日本ごを沢山話してしまいました。しかし、いったんその「恋しい」状態を越えると、英語と日本語の区別がなくなります。重要なのは伝えたいことがあるか否か。かなり絞って思考ができるようになります。今回のメンバーには韓国のある分野のリーダーも参加しています。彼は、英語のスキルには自信がないと言っていましたが、伝えたいことがあると、率先して発言をしています。そして、このグローバルミーティングの参加者は一様に「相手を尊敬する」態度をあらわにして、熱心に耳を傾けるのです。グローバルのビジネスリーダーは、このように、認め、受け入れ、よく聞く、という姿勢を貫いてこそなれるのだなどと、仲間からも沢山教えてもらっています。

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