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「初期値」の話 ~野球と会計・微分積分思考法~

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(前のつづきです)

結局のところ、

「ランナーが一塁を駆け抜ける時刻」 と 
「一塁手が遊撃手からの送球を受け取る時刻」

の攻防というのは、以下のように置き換えられます。

ランナーの一塁までの残りの距離(積分) ÷ ランナーの速度(微分)
遊撃手の捕球位置から一塁手までの距離(積分) ÷ 遊撃手の送球の速度(微分)

という2つの時間の攻防なのです。

次に初期値の話をしたいと思います。

初期値というのは、例えば、昨年まで、貯金が100万円あった人が、
今年になって、月に1万円ずつ貯金できたとすれば、今年の終わりには、
100万円 + 1万円 × 12か月 = 112万円 
となって、112万円貯金できているという計算にもでてきます。
ここでは、初期値が、100万円で、微分が1万円、積分が112万円 となりますね。

勘のよい方は、なんだ、会計も微分積分の話じゃないか!って
お気づきかもしれません。

貸借対照表が積分で、損益計算書が微分です。初期値は、資本金ですね。

あとは、イニシャルコスト(初期費用)が初期値で、ランニングコスト(維持費)が微分ですよね。トータルの費用が積分 ということになります。

他にも、速度の話でも同じです。
初期値というのは、ゼロから始めるのがわかりやすいですが、
ある値を持っていることもあります。

この初期値というが、我々の知識の蓄積という意味では先入観に相当します。
このあたりの話はまたおいおいさせていただくとして、


野球に話を戻します。

バッターランナー と 守備 と両方で、初期値に対する考え方が存在します。
初期値は、有利にも働きますし、不利にも働きます。

まず、バッターランナー。
右打席と左打席、有利なのはどっちでしょうか?
もちろん、一塁に近い左打席です。

初期値ということばを遣うなら、左打席の方が、初期値が存在し、
右打席よりも、走る距離(積分)が短くて済みます。

これは有利ですよね。

更に、バンドヒットを狙うなら、打席内で、小走りに走り始めて、バンドをするという戦法もあります。これで、初期値をかなり稼げるわけです。

守備も同じです。
前進守備をすれば、打球をより早く捕球できますので、バッターランナーの初期値を
小さく抑えることができます。つまり、バッターランナーは、本塁から少しの距離しか
離れていないということになり、悠々アウトにできることでしょう。

ただし、打球が、内野守備の間を抜けて、ヒットになる確率も上がるので注意が必要ですね。

あとは、バッターの癖に応じて、守備位置を変えることだってできます。
先ほどまでは、1次元の話だったのですが、これは2次元の話になります。

打球にしっかり追いつけるように、今度は、守備の選手の走力(微分)と
打球の方向と捕球の位置(積分)を考えて、有利な守備位置(初期値)を選ぶという
作業ですね。

長くなりそうなので、今日はここまでにさせてください。
ありがとうございました。

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