行動の食わず嫌いを克服する方法
「頑固で変われない人が多くて困っているんだよね」
最近ある企業のマネジャーさんからこんなお話しを聞きました。
大人は、子どもと比べて経験豊富。前提や持論を持っています。それが頑固に見えてしまう原因です。
変わらない人は自身の前提や持論が邪魔をしていて、変わらなくてはならない本当の意味に気がついていないか、現状を悟らずに毛嫌いしていることが多いのです。
たとえばブルーチーズなど、匂いや見かけに騙されて真の価値が分からなかったものってありませんか。
実際に食べたてみれば、こんな美味いものはないと気づくはずです。
変わらない人は、食わず嫌いをしていることがよくあるのです。
経営学者の野田稔氏は、好奇心や問題意識を感じない出発点から自主的に強制さを持たせる「強制された自主性」によって考え方を変えることができると言います。
まずは自主的に無理矢理にでも行動を変えます。行動することによって行動の意味が徐々に理解されて考え方が変わるのです。
これはランニングのトレーニングで考えてみると分かりやすいと思います。
人間ドックで太り過ぎを指摘された人がダイエットのために強制的に走りはじめたとします。徐々に走ることに適応できるようになり、一定の期間継続すると習慣化されます。習慣化されれば気持ちの負担が少なくなり、あるとき心の中を振り返ると楽しんでいる自分に気がつくかもしれません。
やってみれば、内面に変化が現れて、考えが変わるのです。
人が無理矢理にでも笑顔を作ることで楽しい気持ちになる「表情フィードバック仮説」と言われるものがあります。辛く、苦しいときでも、無理矢理笑うことで気分が改善されるのです。逆に、不機嫌な顔をしていれば気分も引きずられてネガティブになります。
つまり楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるというわけです。
だから竹中直人さんの十八番、「笑いながら怒る人」を普通の人がするのは大変に難しいのです。笑い顔をすると「ふざけんな!この野郎!」という声のトーンが必ず笑い声になってしまいます。心と体はつながっているのです。
変われなくて悩んでいたら、まず「強制された自主性」で四の五の言わずに行動して、内面の変化を起こすことです。良いルーティンを使えば最初は気が向かなくてもやる気がわいてきます。
【参考文献】
・野田稔『二流を超一流に変える「心」の燃やし方』フォレスト出版(2012)
・守秀子『「笑う門には福来たる」表情フィードバック仮説とその実験的検証』文化学園長野専門学校 研究紀要 第5号(2013)