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プレゼンの困った質疑応答を助けてくれるマジック・フレーズ 『笑って』(プレゼンの心得 その3)

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「プレゼンでは笑顔を出しましょう」

皆さん、「はい、分かりました。笑顔ですね。(そのくらい出来ますよ)」という表情をなさいます。

笑顔を出すというのは、簡単に思われます。

しかし、本番では、ほぼ99%の方々は出来ていません。

とくに、プレゼンの質疑応答で、不安になったり、自信がないと、すぐに暗い表情になってしまう方が多いと思います。こういうときこそ笑顔を出しましょう。

特に男性で多いのですが「笑っているつもりでも笑って見えない」ということがあります。

ある撮影で、一般企業の方とご一緒したときのことです。カメラマンさんが「ハイ、笑って〜」と言っても、顔は全然笑っていません。ご本人は「一生懸命笑っているつもり」なのですが、ビジュアル的には少しも笑って見えないのです。

理由は

(1)緊張している、余裕がない
(2)声の出し方が良くない
(3)筋力の低下で口角が下がっている、頬が上がらない

の3点があげられます。



(1)緊張している、余裕がない

これは、人前に出れば誰でも大なり小なり緊張しますし、私も極度に緊張します。だから、何もしないでいれば、当然、笑顔なんて出ません。最初はものすごくドキドキしていても、無理にでも笑います。

「余裕がなければ、笑顔が出ない。」ということは、どんな人でも分かっていることです。
だから、緊張で笑顔が少しもない人が登壇していれば、「この人は余裕がないのね」と受け取られてしまいます。逆に、無理にでも笑っていれば「あら?余裕があるのね」と聴衆に安心してもらえ、皆さんが心を開いて聞いてくださいます。

聴衆の心を開くための最高のスキルは「笑顔」にあるのです。


(2)声の出し方が良くない

ボイストレーニングのとき、声を響かせるために、頬を上げるトレーニングを行います。
頬を上げることで、口の中が広い状態になって、声が響くようになるのです。声の響く良いホールや教会は天井が高く空間が広いですね。これと同じ状態を口の中に作るのです。
どんなに良いボイストレーニングをしたとしても、口の中が狭いと、上がってきた声の響きを口の中で潰してしまうのです。
頬が下がっていれば、それは口の中が狭い状態になっているサイン。積極的に頬を上げることが大事です。

よく、狭い部屋で話す場合は響かせる必要がないのでは?とおっしゃる人がいますが、違います。
説得力を持つには、大きな声ではなく「響く声」が必要なのです。
良く響く声は、聞く人に人間の器の大きさを感じさせ、信頼感や安心感を与えるのです。

真剣勝負の場で満面の笑顔が躊躇されるような場面でも、口角をしっかりとあげることで、説得力のある力強い声が出るようになります。


(3)筋力の低下で口角が下がっている、頬が上がらない

試しに、リップロールという「唇でブルブルする」ボイストレーニングをしてみると、頬や口角が下がっている人は、全くできないか、やりにくい状態になります。

★参考記事 一流ボーカリストも必ず行う簡単なボイトレ、あなたはどうしてやらないの? 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『リップロール編』

このリップロール、幼稚園児にしてもらうと、ほぼ100%の子はできます。しかし、大人になるにつれて、出来ない人が増えてくるのです。最近の子は、大人びていて、小学生でもすでにリップロールが出来ない子が増えています。

飲み会などで、たまに大笑いすると、顔や顎の筋肉が痛くなることがありますね?これは、筋力が低下している証拠です。
ぜひ、意識的に頬を上げるトレーニングをすると良いでしょう。

★参考記事 ”割り箸ボイストレーニング” 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『基本のポジション編』

プレゼンで困った質疑応答の時の対応は、真摯な姿勢も大事ですが、口角を上げてぜひ笑顔を見せてください。自信満々に見え、信頼感がグンとアップします。

 

★★★本日のマジック・フレーズ★★★

困ったときほど「笑顔で」

ぜひ笑顔を覚えて、プレゼンの助けにしてください。



2014年9月20日日本経済新聞にて、ラガルドIMF専務理事インタビューが掲載されていました。

ラガルドさんは、長身に華やかなファッションで「男性陣の中にいても目立つ」という女性ならではの強みを生かしながら、世界の第一線で活躍されている方です。
そのラガルドさんも、困難や、余裕のないときはたくさんあったそうですが、常に笑顔を大切にされてきました。

    ・・・・(以下引用)・・・・

「私自身、困難は常にあった。一番大きな敵は、自分の内側にある弱気だ。いつも小さな弱気がわく度に戦わなくてはならない。」

「だからこそ、困難にあったときはいつも『歯を食いしばって笑顔を見せる』というモットーを持っている。いつも周囲の女性、そして時には男性から『大丈夫、できる』という励ましをもらい、自分自身の中に響くその声が私の力になってきた。そのような人たちがいたのは幸運だったかもしれない」

    ・・・・(以上引用)・・・・


私が、笑顔がどうしても出せない時というのは、「自分に負けているとき」です。
意志の力で笑顔を出すことが、どんなに尊いことか。
彼女の言う意味がよくわかります。

9年前ほどのことでしょうか。
土曜日の朝、朝刊を読んでいましたら、ご主人が有名な政治家でもあるタレントさんが「辛いと思った時ほど、笑顔になる。そうすると今までの人生、不思議と良い方向に開けてきた。」とインタビューに答えておられたのを見ました。「この方も苦労なさったのだな」と感慨深く思いました。

その新聞を読み終わった直後、電話がかかってきました。大事な親族が重大な病気との知らせだったのです。泣きたくなりましたが、笑顔で病院に向かいました。病院で本人に会った時「ぜったい大丈夫!」と笑顔を出しました。でも心の中は不安でもあったのです。しかし、無理にでも笑顔で!と自分を励まし続けました。対応してくださった方々のおかげで、無事に健康になったのですが、このときほど、「笑顔が大事」ということが身にしみたことはありません。

ラガルドさんのおっしゃる「歯を食いしばって笑顔」は、意志の力です。

その意志の力が、未来を素晴らしい方向に切り開いていくのでしょう。

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