透明な声もハスキーボイスも出せるようになるトレーニング
ハスキーボイス、しゃがれ声・・・、レッスンをしているちに、そういう声の方が多いことに気がつきました。
また、「仕事をしていて夕方になるとしゃがれてしまって・・・」とおっしゃる方もいます。
ご本人はほぼ自覚がないのですが、よくよく聴くと、もともとハスキー気味の声で、一日声を出して疲労してしまうため、息が漏れやすくなってしまっていました。
「喫煙なさっていましたか?」
と訪ねますと、「禁煙しましたが1年前まで吸っていました」とのことでした。
喫煙をしていたり、アルコール度数の高いお酒を頻繁に飲んでその後にカラオケをやっていたり、幼い頃兄弟が多かったり、野球などの大声を出すスポーツをやっていた経験が長かった方など、また、怒鳴ることが多かった場合、ハスキーボイスになってしまいます。
ハスキーボイスとはどのようになってしまうのでしょうか?
声帯に無理な負担をかけて、でこぼこになってしまい、声帯がぴったり合わなくなってしまい空気が漏れて息まじりの声にになる状態です。
これは、治そうと思ってもなかなか治るものではありません。
また、どんなに正しい発声をしてても、職業からくる場合もあります。
最近は徳永英明さんが声帯の手術を受けて、透明感のある声だったのが、不安定になってしまっていました。
現代最高のコロラトゥーラ・ソプラノと言われるナタリー・デッセイも、2回の声帯手術を受け、今は前の歌声を取り戻していますが、しゃべり声はハスキーボイスです。歌うときは相当凄い技術を使っています。
人気のあるボーカリストは、休養なく歌ってしまうので声帯に負担をかけてしまう場合が多いのです。
逆に、黒人の歌う渋みのあるボーカルにあこがれて、わざわざハスキーボイスを手に入れようとする方もいます。
桑田佳祐さんは、お若い頃ウォッカでうがいをして、家に帰ったら座布団のようなものに顔を押し付けて大声を出して今の声を作り上げたのだそうです。
桑田さんのようにハスキーを個性にしたプロになるなら別ですが、一般の人にはおすすめできません。技術を磨いていろいろなトーンの声を出せるようになったほうが良いと思います。
レッスンをしていて気がついたことなのですが、ひどいハスキーではないですが、ちょっとハスキー気味の方は結構多いものです。
ハスキーボイスの悩みは、声に芯がなく響かなくなりますし、いろいろな声が出せなくなるところです。
ひどくないハスキーならば、根気よくトレーニングをして、声を整えていくと良いと思います。
完璧ではなかったとしても、かなり声は響くようになります。
あとは、個性としてとらえていくと良いかと思います。
さて、透明感のある声もハスキーも出せる技術とは何でしょうか?
それは、自分で声帯の調節を出来るようにすることです。
声帯は、緩く閉じると息まじりの声になります。
弱く、柔らかい声を出したかったら、声帯をゆるく閉じます。さらにゆるく閉じれば、ハスキーボイスにすることができます。
強く、芯があって、張りのある声を出したかったら、声帯をきつく閉じれば良いわけです。
普通の方は、声を出してみたら「アラ、こんな声が出ちゃった」となります。
柔らかい声や強い声を気合いで出すことも出来ますが、気合いは人によって違います。いつも安定した声を出すには、自分で自分の声帯を調節できるのが一番良いのです。
「声帯をゆるく閉じたり、きつく閉じたりなんて調節できないよ」と思われる方も多いかもしれません。
でも、じつは声帯の動きをつかさどる筋肉は自分の意志で動かすことができます。
声帯を意識できるようになり、声帯の調節が出来るようになるためのトレーニングをご紹介しましょう。
少々のハスキーなら、透明感のある声に近づくこともできます。
まず、自分の声帯の位置を知りましょう。
◆◇◆ 声帯の位置を知る方法 ◆◇◆
1、「pの子音」 出ようとする息を唇で止め、お腹を手で押し、ちょっと我慢してから破裂させる。「プッ」というような音。
2、「tの子音」 出ようとする息を舌先で止め、お腹を手で押し、ちょっと我慢して破裂。「トッ」というような音。
3、「kの子音」 出ようとする息を舌の真中で止め、お腹を手で押し、ちょっと我慢して破裂。「クッ」というような音。
4、声帯の「ストローク」
アゴを下げて口を緩く開いたまま息をすって、声帯で息を止め、ちょっと我慢して軽くお腹を手で押し、コツッと当てるように、できるだけ短く「ア”」という音を出す。(「ア」と「ウ」の中間のような音で「ア」の短い音ではありません)低めの音をイメージ。
5、1→2→3→4→5をゆっくり繰り返す。
このトレーニングは、「息をとめる位置がだんだん奥に入っていく」ことがポイントです。
「声帯とはここかあ!」と気がつき、声帯をより意識しやすくなります。
◆◇◆ 声帯のためのトレーニング「エッジ」◆◇◆
1、あごを下げて舌を十分にのばして舌先を下の歯につける。(極度にリラックスした顔ということです)
2、基本ポジションのまま、「あ~」と言うつもりで、声になるかならない寸前のところで発声する。「呪怨」の「あ”あ”あ”・・・」または、平井堅さんが歌いだしに使う声です。
★ポイント:力を込めないこと。軽く、薄く、リラックスして出せていることが大事。「あ”」の振動が高いと声帯にストレスがかかっているので、なるべくゆるやかな振動で行うように。すこし湿り気のある音で聞こえるのが理想。
出来ない人は、声帯に余分な力みが入っています。新聞でも読みながら、家族とおしゃべりしながら、とかリラックスしてやってみてください。必ずできます。
→参照記事:ボイトレや歌で集中なんかするとロクなことがない