人は息の流れに本心が出る 安倍首相会見より
つい先日都内中心において、集団的自衛権の抗議デモが行われているのを見かけました。
やはり関心の高さがうかがえます。
ここのところ安倍首相の会見を継続して見ておりますが、5月の有識者懇談会から集団的自衛権の公使容認を提言する報告書を受けて会見したときの雄弁な声から比較すると、最近の話し振りや声は慎重になってきていると感じています。
特に7月1日の首相官邸での記者会見。
ゆっくりと、落ち着いて、間違えがないように、語りかけるように、丁寧な息の流れで話していました。質疑応答の部分では、手元の資料を頻繁に気にしながら、かなり慎重になっていました。
ただ、質疑応答20分以降、最後の二つの質問「グレーゾン、国際協力、集団的自衛権、どのように法改正に臨むのか?」「集団的自衛権について取り組もうと思った原点は何か?」については、難しい回答であったことがよくわかります。
前半の息の流れとは違い、息の流れが滞って、のんでしまうようになったとたん、声が少し小さくなり、「あー」「えー」が多くなってしまいました。
「声」というものは、よほどのトレーニングを積んでいない限り、その人の内面を正直に表すものです。
「声」と書きましたが、その人の真実が一番表れるのは、実は「息の流れ」です。
人は無意識に息の流れに反応するのです。
ビジネスなど、ギリギリの場面での対談において、お互いが微笑を浮かべながら「腹の探り合い」になることがあります。
そういうとき本当の上段者は、「息の流れ」が安定しており、なかなか弱点がつかめません。
逆に、言葉は巧みでも、息の流れにまで気を配っていない人というのは、すぐに息の流れに感情が出てしまいます。
一見、言葉によって説得力があるように見えても、注意して息の流れを聞けば、その人が本当は何を感じているのかよくわかります。
だから、「良い話を聞いた」と思っても、息の流れが良くない場合、勘のいい人は「理由はわからないけれど何かある」と本能的に感じているものです。
ボイストレーニングというのは横隔膜をトレーニングするものだとかねてから書かせていただいています。
横隔膜は息の流れをつかさどる筋肉。横隔膜トレーニングすることで、良い息の流れをつくり良い発声になっていきます。
つまり、ボイストレーニングとは「ボイス」ではなく「息の流れ」をつくるものなのです。
そうはいっても、これからの日本。
強い意見に振り回されず、多様な意見も尊重し、一人一人が自分自身で考え続けていくことが大事なのだと思います。
リーダーの息の流れにも良く耳を澄ませて感じてください。