「マクドナルドらしさ」を追求した新ベネッセ社長の原田泳幸さんらしさとは?
日本マクドナルドの社長を10年近く務めた原田泳幸さんが6月21日付で、「進研ゼミ」などを手掛けるベネッセホールディングスの会長兼社長に就任しました。
原田さんが社長に就任したマクドナルドは、8年連続で増収を記録。11年度の営業利益は281億円と、就任前の03年度に比べ約10倍に増加し、「原田マジック」とも言われたのです。
この原田さんの本、「勝ち続ける経営 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論」(朝日新聞出版)と「マクドナルドの経済学」(PHP研究所)を読了し、原田さんの経営方針やお考えを学ぶことができました。
その経営方針は、基本に忠実に、ただし革新的な方法で、徹底した「マクドナルドらしさ」を取り戻すことでした。
ある時期、マックカフェの「プレミアムローストコーヒー」がアラビカ豆100%にこだわり、美味しいと評判になりましたが、これも実はマクドナルドらしさを大事にする一環だったのだそうです。
要は、「コーヒーが美味しくてコーヒーが売れれば、中心商品である『ビッグマック』が売れる。」
私から見ると、「あの安さであの味」と思わせたマクドナルドのコーヒーは、他の競合店と対抗するためのものだと思っていたのですが、原田さんからするとあくまで「ビックマック」を売るためのものだったのです。
「ビックマックはもう伸びないのだから、コーヒーで別の柱を立てよう」と考えた瞬間ビジネス全体がおかしくなってしまうのだそうです。
原田さんは、毎朝11キロもジョギングを欠かさず、東京マラソンへの出場をしています。
「それまで未経験だったことをやって、あるところで一皮むけるときの快感が好きです。」(「勝ち続ける経営」より)と原田さんは言います。
私も、今はしていませんが、毎朝ジョギングをしていた時期がありました。最初は苦しいのですが、だんだんと走らないと落ち着かなくなります。そして、ある時期、突然走るレベルが上がるのです。その後、地域のマラソン大会などで入賞するようになっていきました。
「マクドナルドの仕事は神さまが与えてくれたチャンスかなと思っています。アップルのときも厳しい状況の中で社長を務めましたし、それが私の天命かなと思ってます」(「勝ち続ける経営」より)
今、ベネッセでは、「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の会員数が前年より24万人減少しています。デジタル学習の急激な広がり、学習塾との競争激化などの変化が原因のようです。
私も子供時代ベネッセにはお世話になっていて「赤ペン先生」は懐かしく思い出します。
原田さんが求めるふさわしい舞台が整ったともいえます。
しかし、以前は、アップル、マクドナルド、と外資系。今度は日本企業という違いがあります。同じように上手くいくのでしょうか。
しかし、原田さんは「サイエンスではなくサイコロジー」と言います。
マクドナルドは外資とはいえ、前任者、藤田田さんの影響力もあり実は日本的な風土が強い会社でした。原田さんは元エンジニアでもあり、「アップル時代はピープルよりテクノロジーで来た。マクドナルドで初めてピープルを学んでいる」とテレビのインタビューで語っておられたのを聴いたことがあります。
「成功する人は思いやりのある人。社員に対しては誰よりも愛情を持って厳しさで立ち向かう」とおっしゃる原田社長。
同じようにベネッセでも強いリーダーシップを発揮して「ベネッセらしさ」と、さらに、人生の仕事の集大成として「原田さんらしさ」を追求してくださるのではないでしょうか。