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「改革は上から」分権制のあるべき姿をサントリーの舞台で進化させブランドを確立してほしい

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ローソン社長だった新浪剛史さんが、今回サントリーHDの社長に抜擢されました。

2014/06/19 の記事「相手の懐に飛び込まなくては人は動かない」にも新浪さんのことを書きました。やはり次なる大きな夢は「なるほど」という思いです。

サントリーといえば一族経営でも知られている会社。
「65歳までに社長を退任する」と公言してきた現社長佐治信忠さんも今年11月で69歳になります。
生まれながらにして帝王学を学んだ「プリンス」と呼ばれる現在48歳の鳥居信宏さんの存在もありますが、まだ若いということなのでしょう。

佐治信忠さんによると、新浪さんを選んだのは「直感」。
この判断から、経営者の直感は過たないと感じます。
また慶応の先輩後輩という関係も、言いたい事を率直に言い合える間柄だったのではないでしょうか

そしてやはり、サントリーの「やってみなはれ」という文化が、ローソンで「おにぎり屋」や多彩な店舗展開などのイノベーションを起こした新浪さんに合っているように思えます。

ただ、新浪さんの場合、実際は「何でもかんでもやってみろ」ではなかったようです。

・・・・(以下「個を動かす 新浪剛史ローソン作り直しの10年」より引用)・・・・

現場が考え抜いてきた上で、自身の描く経営の『ビッグピクチャー』に反していない提案を持ってきたら、新浪は『やる』『やらない』という議論はしない。

「やっている本人が半信半疑で、気持ちが入っていないような提案というのは『やめろ』ということになる。提案する側がどれだけやりたいか、やりたがっているか。新浪さんの判断基準はそこにある」

    ・・・・(以上引用)・・・・

これこそ、分権制のあるべき姿ではないでしょうか。
新浪さんの力に満ちたアイコンタクトは、社員との一瞬の真剣勝負から生まれたものなのでしょう。

最近起用された主な経営者の傾向からすると、資生堂の魚谷雅彦社長(元日本コカ・コーラ社長)、ベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長(元日本マクドナルド・ホールディングス社長)、LIXILグループの藤森義明社長(元日本ゼネラル・エレクトリック会長兼社長兼最高経営責任者)、武田薬品工業のクリストフ・ウェバーCOO(6/27社長就任予定、英グラクソ・スミスクライン幹部)など、外資系出身者ばかりです。
そんな中、日本企業からの起用は素晴らしいことで、「日本にもこのような経営者が出てきたのだ」という思いです。


サントリーといえば、佐治敬三さんの時代には、趣味人の作家、開高健や山口瞳を起用したり、文化的、芸術的なイメージがあります。そしてさらに、佐治信忠さんの代では、1兆6千億を投じて米国ビーム社の買収を行い、世界のメインポジションを取りにきているであろう気合いを感じさせます。

舞台は整いました。

コンビニチェーンの体育会系キャプテンから、世界のサントリーのマエストロに抜擢された新浪さん。

1世紀に一人出るかでないかの天才、巨匠フルトベングラーの後、ベルリン・フィルの音楽監督に抜擢され、ベルリン・フィルを世界最高のブランドに仕立て上げた帝王カラヤンの姿がかぶります。

カラヤンは、オーケストラを徹底的にトレーニングすることとは別に、外部へリーダーとして自分の「魅せ方」にも大変工夫と研究をし「カラヤン・ブランド」「ベルリン・フィル・ブランド」を確立していきました。写真は横顔のみ、しかもほとんど右側しか撮らせませんでした。
「音さえ良ければいい」という時代は終わり、イメージが大事だということをよくわかっていたのでしょう。
カラヤンは、素晴らしい指揮者であると同時に、優秀な営業マンであり、広報マンでもあったのです。
また、カラヤンは強いカリスマとしても有名ですが、楽団員の回想録などによると、意外と団員の意見を尊重し、深い思いやりのある人だったようです。

新浪さんも「改革は上から。改善は下から。」とおっしゃっているように、サーバント型でありながらも、思い切りの良い経営をしてくださると思います。

新浪さんらしさを出しながらも、世界的な「サントリー・ブランド」を確立し、アートとしての経営をさらに進化させていただきたいと楽しみにしています。

ローソンで12年、もし10年やってもまだ65歳です。
未来はご出身でもある日本の最巨大企業で采配をふるう日もいつか訪れるのではないでしょうか。

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