もっとも簡単にビブラートがかかりトリルもきれいに入る方法「シェイク・ビブラート」
高い音、特に長くのばす音(ロングトーン)のとき、あまりにもまっすぐな声で歌われると聞いていてヒヤヒヤすることがあります。
のど周辺や横隔膜がガチっと固まり、柔軟さがなくなってしまうことで、息が十分に流れずに歌っているので、音が途中でブツッと切れやすくなるからです。また「あーーーーー」という固い声は、聞いていてあまりリラックスできるものではありませんね。
特に、曲のクライマックスでは、高い音で長くのばす音が多いですから、そんなところで「ブツッ」となってしまったら、「それまで」となってしまいます。
また、合唱団のようにあまりビブラートを多用しないような場合でも、一昔前のような音程が2度(ドからレの幅)くらい動くようなビブラートは感心しませんが、適切なビブラートは必要だと思います。
モーツァルトも、「大人の声楽の声というのは自然なビブラートがかかっているものです」と言っています。
歌の上手な人は、ビブラートがかけられるものです。
それは、お腹(横隔膜)が使えて、リラックスしてしっかりと息が流れているからです。
ビブラートのためのビブラート、というよりは、ビブラートは、お腹と息が使えているかの確認にもなります。
ただ、ビブラートがかけられるようになるには、
1、横隔膜という呼吸のインナーマッスル
2、声帯に揺らす感覚を覚えさせること
の2点が必要です。
1、横隔膜
横隔膜の鍛え方は、下記のサイト、また著書「DVD付きリーダーは低い声で話せ」では、動画でガイドしていますので、これらのトレーニング方法を参考にしてください。
・リンク→「あなたは横隔膜が使えているか? 横隔膜ビブラートをかけるためのトレーニングと横隔膜ビブラートの簡単なかけ方」
・本→「DVD付きリーダーは低い声で話せ」(KADOKAWA 中経出版)
横隔膜のトレーニングをした上で、壁に背中をつけて下記のやり方を行ってみてください。誰でも必ずビブラートがかかります。
【ブルブルトレーニング】
グーににぎった両手を肋骨下のお腹にあてて、息を吸い、口をあけながら「はあ~」または「ほお~」と発声し、ぐいぐいとリズミカルに押します。「はあぁあぁあぁ~」と必ずビブラートがかかります。(誰か他の方に両手グーでリズミカルに押してもらうのもok)
ヒント:このとき声が力みかえっていてノドや舌に余分な力が入っていると上手くかかりません。最初は、ふくろうの鳴き声を真似したようなリラックスした「ホ~」という声質から開始するとよいでしょう。
横隔膜のビブラートが出来るようになると、声が響くようになり、今まで苦しかった高い音も出しやすくなります。
2、声帯に揺らす感覚を覚えさせる
「声帯に揺らす感覚を覚えさせる」は、なかなかコツがつかめない場合もあります。また、音をコロコロと細かく上下させて歌う「トリル」も奇麗に入らずに悩んでいる方も多いと思います。
(ぜひ横隔膜のトレーニングを行った上で・・・が望ましいですが)声を揺らす、また、トリルのコツを声帯に覚えさせるための簡単な方法があります。
【シェイク・ビブラート】
発声しながら、首を震えるように左右に小さく細かく振ると、簡単に声を揺らしたり、音程を細かく上下させることができます。
慣れてくると、人が見ても分からないくらいほとんど振らなくても音が変化するようになります。
また、横隔膜ビブラートが出来ている方でも、ノド周辺が緊張しやすい方には、リラックスのために有効な方法です。
どうしてもビブラートが出来ない方は、この首振りのビブラートでコツをつかんでから、さらに横隔膜のトレーニングで豊なビブラートに変えていく、というアプローチも良いのではないかと思います。