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まさかあの名作が? モーツァルトに作曲のゴーストを依頼した男がいた

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1791年6月(または7月)灰色のマントをまとった謎の男がモーツァルトのもとを訪れます。モーツァルトに「レクイエム」を書いてほしいと依頼してきたのです。
マントの男は、充分な謝礼をするので、発注主の名前は聞かないでほしいと申し入れます。モーツァルトは、この男のことを地獄から使者と思い込み、自分自身のためのレクイエムとして作曲し始めます。しかし、モーツァルトは当時病気がちであり、歌劇「魔笛」も同時に作曲していたため、レクエムの創作は体力を奪い、病状は悪化。もう先が長くないと悟ったモーツァルトは、弟子のジュースマイヤーに、作品を完成させるための指示を与えました。そして、レクイエムの完成を待たずに、モーツァルトは亡くなってしまうのです。

モーツァルトの死後、ジュースマイヤーが補筆して完成させたのが、モーツァルト未完の名作といわれる、レクイエム ニ短調 k.626です。

このいきさつが、灰色のマントを着た男はライバルのサリエリであり、モーツァルトの才能への嫉妬から毒殺をはかったという、あの有名な「アマデウス」のストーリーが生まれるきっかけにもなったのです。

実は、この灰色のマントを着た男とは、ワルゼック伯爵という人の友人。伯爵に頼まれてモーツァルトを訪れたのです。
ワルゼック伯爵は、プロの作曲家に作曲を依頼し、手直しをして自分の作品として世間に発表するというのが趣味でした。

作曲を依頼する方、そして受ける作曲家にも、それぞれの真実があり、私はそれに対して意見をのべたり、批判したりできる立場ではありません。
しかし、本当に素晴らしい作品なら、人々に幸せをもたらし、長くこの世に残っていくことだと思います。作品の価値は、歴史と人類の良心が判断することでしょう。

それでは、本日は、カール・ベーム指揮、ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場合唱団他、の演奏をお聞きいただきましょうか。

★YouTubeリンク→モーツァルト作曲レクイエム ニ短調 k.626

死への扉を開くような暗く劇的な第1曲 レクイエム・エテルナム、魂が乱舞するような重厚壮大な第2曲 キリエ、そして、激しく深い9:42〜の有名な第3曲 ディエス・イレー【怒りの日】。ぜひ最初の12分だけでも聞いてみてください。人類の至宝、モーツァルトが、いかに大天才であったのかが感じられるでしょう。




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