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映画「アフタースクール」良いストーリーとは仕掛けをどこで与えるか

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内田けんじ監督の映画「鍵どろぼうのメソッド」を観て、そのユニークさ、緻密さ、人間を見つめる温かいまなざしにひかれました。

そこで、その前に制作されて話題になっていた「アフタースクール」を観てみることにしました。
大泉洋さん、堺雅人さん、佐々木蔵之介さんのアンサンブルキャストです。

内田監督の映画はどれも、緻密でトリッキーなストーリーだと思います。

この「アフタースクール」も、次回作の「鍵どろぼうのメソッド」よりさらに込み入っています。
実は、最初観たときに理解できない場面が多く、もう一度観てみたのです。画面を携帯で撮影し、後ですりあわせた場面もあったほどです。

しかし、二回目は、まるで別の映画を観ているようでした。そして、なんと一回目よりさらに面白かったのです。
こんな映画は初めてです。

内田監督は、映画の中のところどころに細かい「仕掛け」をしています。
その仕掛けは、映画を観ていくうちに、どこかで必ずつながるように出来ています。
その「仕掛け」を、ストーリーの中のどこで、どのタイミングで、お客さんに与えたらいいのかを、実によく計算している。「仕掛け」を与えるタイミングと順番が卓越しているのです。

例えば、堺雅人が女性と女性のマンションに入るところを撮影されたビデオ画像。
私は、この画像のが一回目に出てきたとき、画面の日付と時間を携帯で撮影したほどです。
これが、もう一度映画の最後に出てきます。
ここではじめて「なるほど!」と膝を打つのです。

こういう設定が、たくさんあり、ぜひ二回観てほしい映画です。そこで初めて本当の面白さに気がつきます。

小さなどんでん返しが繰り返し、お客さんの意表をついて映画は進み、そして、最後に大きなどんでん返しが来ます。

ストーリーは、予想通りに進むものより、予想を裏切るほうが面白いものです。
そして、最後は、きちんと期待通りに終わる。

内田監督の映画は、お金をかけたCGがあるわけでもなく、派手なアクションがあるわけでもないのですが、これの基本が出来ているため、どの映画よりも面白く、観た後感が良いのです。

私はこの「アフタースクール」で一番好きな場面があります。
それは、映画の終盤で、神野役の大泉洋が「お前がつまらないのは、お前のせいだ」というシーンです。

世界は自分の鏡。
自分をみつめろ。
自分次第で人生は面白くなるぞ。

内田監督の声が聞こえてくるようでした。

内田監督の作品は、ベートーヴェンがところどころに顔を出します。携帯の着信音が「エリーゼのために」とか「運命」とか。
仕掛けの緻密さでは、ベートーヴェンもひけをとりません。
「このテーマがなるほど、ここでこう生かされてくるのね。」と思うことしばしば。
次回作の「鍵どろぼうのメソッド」では、殺し屋の部屋に本格派クラシック雑誌「音楽の友」をさりげなく置いたり、ベルリンフィルの音楽監督にして伝説的な指揮者で、ベートーヴェンを得意としたフルトヴェングラーのジャケットが飾ってあったりと、かなりこだわりをお持ちのように感じました。

いつか、ベートーヴェン満載の映画を撮っていただきたいです。

「アフタスクール」面白いです。
ぜひご覧ください。

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