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「半沢直樹シリーズ」の二人が共演 予想を裏切り期待を裏切らない

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今年の大ヒットドラマ「半沢直樹シリーズ」の半沢役の堺雅人さんと、大和田常務役の香川照之さんが共演している映画があります。

2012年公開、内田けんじ監督の「鍵泥棒のメソッド」です。

これは、最近観た日本映画の中でも面白く、おすすめしたい映画でした。

終盤に向けてのどんでん返し、良い意味でお客さんの「予想を裏切り、期待を裏切らない」という、卓越したストーリーづくりがすばらしい。

そして、細部までブレがなく筋が通っているのです。

例えば、序盤で、何気なく流れていたベートーヴェン晩年の弦楽四重奏14番の音楽が、後半で大きな意味を持ってきたり、ピンチを招いた盗聴器が後で役に立ったりと、細かい仕掛けが、生きてくるように随所に施されていて、画面から目が離せません。

「ああ、なるほど、あれはこういう意味があったのか」と膝をぽんと打ちながら映画を観ることになります。

そして、なんと言っても、堺さん、香川さん、現在旬の役者二人が、がっぷり四つで組み合った演技がすごい。

香川さんは、「半沢直樹シリーズ」で、煮ても焼いても食えない悪役でしたが、「鍵どろぼうのメソッド」では、殺し屋役と、記憶を失った良い人の役両方を見事に演じきっていました。

悪役においての毒と、良い人での毒の抜き方がすごいのです。
記憶を取り戻し悪役になったとたん、いきなり毒を出すところなど見物です。眼光の強さまで変わります。

もう一つの見所は、香川さんが、堺さんに「演技指導」を行うシーンがあります。
ついつい力が入る香川さん、もしかしたら地でやっていたのではないかと思うほどでした。

ちなみにこの映画では、ベートーヴェン作曲、ピアノ・ソナタ変イ長調作品110や第九、またベートーヴェンの創作の頂点を極めたともいわれる弦楽四重奏第14番など、後期から晩年の作品が頻繁に使われていました。

ベートーヴェンの努力家で几帳面な性格、そして、女性に対してかたくななところなど、映画の「メソッド」というキーワードや、香川さん演じる山崎という殺し屋役と重なり、印象深く感じました。


理屈抜きに面白く、観たあと気持ちが爽やかになるような映画です。おすすめします。

*2013年11月9日14:45題名を訂正いたしました。

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