60歳までに指揮をやめる あきらめが希望に
指揮者の小林研一郎さん(73)が旭日中綬章を受章されました。
小林さんは、ベルリオーズの「幻想交響曲」、チャイコフスキーの交響曲第五番、マーラーの交響曲第一番、などの演奏が本当に素晴らしく、日本のオーケストラから海外の伝統あるオーケストラのような響きを導きだされていました。そしてなんと言っても、小林さんの炎のようなパッションに魅了されました。
一時期、小林さんがこの作品を振るときけば、可能な場所ならどこにでも出向きました。
旭日中綬章を受賞になっての記事が日本経済新聞2013年11月3日に掲載されていましたのでご紹介します。
・・・・・(以下引用)・・・・・
情熱的な指揮ぶりから「炎のコバケン」と呼ばれるが、音楽作りの原点は「湖のような静けさ」と「心の中で静かに燃えている炎」にある。
不滅の名作を限りなくたくさん演奏することが今も変わらぬ信条。だが50代でベートーベンの交響曲全集を録音したときは、「こんな音楽しか生み出せないのかと冷や汗が出て」お蔵入りに。理想との乖離(かいり)に苦しみ「60歳で指揮をやめる」とまで思い詰めた。試行錯誤の末「あきらめが希望い変わった」
近年はプロ・アマ、知的障害者混合の「コバケンとその仲間たちオーケストラ」を率いて、生まれ故郷の福島や各地で演奏会を開いている。「これからもこの活動を続け、特に被災地を回りたい」
・・・・(以上引用)・・・・・
小林さんでも「こんな音楽しか生み出せないのかと冷や汗が出てお蔵入りに」という言葉を聞き、ベートーベンの難しさ、奥深さをあらためて思い知りました。
ベートーベンは、「その音楽家の本当の力を知りたければベートーベンの演奏を聞けばよい」とまで言われている作曲家。
音そのものに魂の力が宿り、その人間の力が正直に問われるのだと思います。
しかし、小林さんの演奏するベートーベンもまた素晴らしく、第五番「運命」のただならぬ緊張感と爆発は、小林さんならではの演奏だと思います。
これからも、小林さんのますますの円熟とご活躍に期待したいですね。
下記に、小林さんのチャイコフスキーの演奏を記事にしています。ぜひご覧くださり、その凄まじいばかりの演奏を感じてください!
「心を焦がすような憧れと飢えからうまれる情熱が人の心を動かす」