「アゴを引いて声を出しましょう」の勘違い アゴを引いてしまうのはなぜいけないのか
最近よく受けるご質問に、発声するときアゴの角度があります。
「アゴを引いて発声した方が良いのか」、それとも、「アゴは引かない方が良いのか」という内容です。
「アゴを引いて声を出したほうがよい」というのはよく言われていますし、私も実際、そういうことを指導いただいたことがあります。
しかし、実は、アゴは引かない方が良い声が出ます。
アゴを引いてしまうと、のどの周辺が締まってしまうので、狭くなってしまい、声が響かなくなります。
発声をするときというのは、出来るだけ、喉の周辺に余分な力みが入らないようにすることを最優先とします。
それでは、どのくらいの顎の位置が良いのでしょうか。
よく言われるのが、「ステージからS席あたりを見て声を出すのが良い」といわれています。
クラシックのコンサートですとS席は、1階のちようど傾斜がついている真ん中あたりでしょうか?
この位置を見ると、顎は、心持ちほんの軽く上がった状態になります。
このくらいのほうが喉や首周辺がリラックスして発声しやすいのです。
上がりすぎもよくありませんが、アゴを引いてしまうのは喉の状態をベストに維持するためにあまりおすすめできません。
声が疲れてきたと思ったら、首周辺が固くなり凝っている状態になっています。
いったんゆっくりと上を向いて、首を伸ばして、ストレッチしてあげてください。
また、水分をとることも、水を飲むことで喉頭がストレッチされるので有効です。
劇団やオペラ、ミュージカルでは、芝居をしながら良い声を発声しなければならないので、プロはどんな姿勢でも発声できるようにしなければならないのですが、のどだけは締めないような角度に維持するのが良いと思います。
少し難しいですが、プロは上を向いて発声する練習方法があります。
テノール歌手の秋川雅史さんが、テレビの取材番組で、上を向いて首と喉を伸ばしながら高音の練習をしているのを見たことがあります。普通の人は、高音を出そうとすると喉を締めて強引に出してしまいます。しかし、ストレスをかけて強引に発声していても良い声になることはありません。できるだけ、余分な力みを入れないようにするのがするのが良いのです。喉はのばした方が、声帯やその周辺はリラックスできます。
喉のリラックスというのは、つきつめようとすれば大変難しく、プロはどんな手を使ってでも、リラックスを獲得しようとしています。
ビジネスでここまでする必要はありませんが、喉を締めずに、出来るだけ喉はリラックスと開放を意識してあげてください。