飛行機の客室乗務員も声が大事 通る声は横隔膜から
飛行機に乗るとCA(キャビンアテンダント)さんたちが細やかにお世話をしてくださるのは、とても心が落ち着きます。いつも有り難いなあと思います。
先日、あるニュース番組で、新人CAさんたちの研修を特集しているのを見ました。
教官の先生は、「お客様の命をお預かりする、お守りするための研修」「私はあなた達のお友達ではありませんと」とはっきり言い、張り詰めた空気感の中で研修を行っていました。この研修に合格しないとフライトできないそうで、時には泣きながら、必死で頑張っていました。
この研修を見ている中で気になったことがありました。
それは、教官が、新人CAさんたちに対して「そんな声では聞こえませんよ」と、始終注意していたことです。 番組内で行った教官の指示で一番多かった言葉だったと思います。
ただでさえ、機内はエンジン音がしていたり、カーペットやシートなどが音を吸収するため、声が響き難い環境にあります。 そして、万が一の状態とも隣り合わせ。 そんなとき、はっきりとお客さんに指示の声が通ることは命を守るためにも大事なことです。
研修中は、ボイストレーニングも行っていました。 「大事な人の名前を大声で呼んでください」という訓練もありましたね。
見ていると、皆さん、これからトレーニングなさっていくのだと思いますが、喉で頑張って声を出しておられました。 喉で頑張っている限りは、なかなか声は通るようになりません。
大抵の人は「声を出して」というと、「ワアッ」と声帯に負担をかけて発声してしまいます。それを続けると、声がかれてしまったり、しまいには声が出なくなることもあります。
「声を出す」というと「喉をきたえる」と思いがちですが、実は、声は横隔膜の筋力によって出しています。 横隔膜は、肺の下あたりにある、呼吸をつかさどるドーム型をしたインナーマッスル(深層筋肉)です。
久しぶりに大笑いすると、筋肉痛のようにお腹がよじれるほど痛くなることがありますね。そこが横隔膜です。 横隔膜は、意識しないと普段の発声にはなかなか生かすことができません。
「あーー」と発声しながら、肋骨(肺をかこっている骨)の下あたりをグイッと手で押すと「あー(押す)あ~!あー」と変化します。 喉でがんばろうと思わなくても、自然と声が出ます。 そこを鍛えるようにするのです。そうすれば、ムリをせずに大きな声が出るようになります。
横隔膜のインナーマッスルを鍛えるトレーニングを日々行うことで声が出しやすくなっていきます。 CAさんだけではなく、声をよくすることで、仕事がよりやりやすくなっていくと思っています。 それでは、簡単に横隔膜を鍛えるトレーニングです。
★★横隔膜ブレス★★★
1、肋骨のすぐ下あたりに手を当てる
2、顎を下げて口を開け、思い切り息を吸う ポイント:肩が上がらないように。お腹が風船のように張る感じを手で確認すること。
3、口を閉じ、唇に針一本通るくらいの隙間を開けて頬と鼻の下がパンパンにふくらましながら5秒息をはきます。
ポイント:頬と鼻の下がリスがエサを口に入れているようにパンパンにふくらませる。ここが遠慮がちになっては効果がありません。口の前にティッシューをかざすと地面と平行になびくくらいの呼気です。お腹はできるだけ張った状態を維持します。
4、再び口を開けて2から繰り返す。