「自分ブランドとは」 他人のことを徹底的に考えることで自分という個性が際立つ
林真理子さんの本、「野心のすすめ」、人気ですね。
あらゆる書店でおみかけします。
読んでみるとなぜ林さんがあそこまでのお立場になられたのかよく分かりました。
林さんは、自由に好きなことを書いているように見えて、実は自分の本を読んでくれる読者のことを徹底的に考えています。
読者は「林真理子」の何を見たがっているのか、知りたがっているのか。そして、どこまで自分をさらけ出せるのか。それは、プラスの自分だけではなく、マイナスの面も含めてです。
林さんは、「女性エッセイ本のジャンルに爆弾を打ち込むのだ」と言っています。
きれいごとではなく、生の自分をさらけ出す。内臓までさらけだす。
そこで初めて読者は林さんに共感します。
林さんは、自由奔放に書いているように見えますが、お客さんのことを一番考えているのです。
最近見た映画「体脂肪計タニタの社員食堂」の中で、看護師役で出演していた女優さんがとても印象に残りました。
ただ立っているだけで、醸し出される色香と存在感があったのです。
どこかで見たことがある顔と思い、映画最後のテロップにあるキャステイングで、壇蜜さんだということが分かりました。
以前、テレビ「情熱大陸」で壇蜜さんのドキュメンタリーを見たことがあるのですが、しっかりした考えを持って人と接している姿を見て、印象が変わりました。
壇蜜さんは、「自分が、人からどういうことが求められているか」ということを徹底的に考えています。
あるラジオ番組で、「ディレクターさんが用意した文章を読むことは、リスナーとの一体感が損なわれるので、この企画は正直言って難しいと思う」と、はっきり言うべきことを言っていました。彼女は、リスナーが自分に何を求めているのか、ということを直感的につかみ、予定していないアドリブのセリフからラジオ番組を開始するのです。
自分だったらディレクターさんに対して、あのとき強い言葉が言えただろうか、と考えてしまいました。
壇蜜さんにとっての大事なお客さんは、ラジオ局の人ではなく、その向こうにいるリスナーの人たちなのです。
仕事に入ると「自我を消す」のだと言います。
自分というものを消してでもお客さんに奉仕する。
それが壇蜜さんのプロとしての姿なのだろうと思いました。
この女性たちの、なりふり構わぬお客さんへの奉仕と仕事への没頭振り。
そして、お客さんのことを徹底的に考えているのに、なぜか自分という個性が際立ってくる、というこの好循環。
単なるプロとジャンルを超え、彼女たちしかできない「自分ブランド」を築くための知恵を学びました。