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プレゼンや講演で「声が聞こえない」のはお客さんにサービスが届いていないのと同じ

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講演会やプレゼンテーションを聴きに行くと、聞こえないということがよくあります。
 
聞こえないには2種類あって、
1、大きな部屋ではない場合、マイクなしで話していて、声が聞こえない。
2、マイクを使っていても、何を言っているのか聞こえない。
 
講演者にリハーサルでしゃべってもらい、主催者側で、なんらかの対応をすることが出来ているのでしょうか。
自分が行う場合は、お願いしてリハーサルで誰かに聴いてもらうようにしています。
もしかしたら、講演者によっては「声が届きますか?」とおたずねにならない方もいたり、リハーサルなしで本番を行ってしまう場合もあるのでしょうね。
 
私は、ボイストレーニングの受講生が講演を行うときに、リハーサルからご一緒させていただくことがよくあります。
 
受講生Bさんが講演を行ったときの話しです。
Bさんは、レッスンしたという自信があったので、スタッフの方に「ボイストレーニングで鍛えたので、マイクは使わなでやりたいのですが。聞こえるかどうか聴いてもらえませんか」とおっしゃり、リハーサルを開始しました。
 
ただ、いくらトレーニングをしたとはいえ、そこは200名は入るかと思われるシューボックス型の縦長のホールでしたので、一番後ろに座って聴いていると、明瞭に聞こえない部分もありました。
 
Bさんの「聞こえますか?」という言葉に、スタッフの方は「大丈夫です」と答えています。
しかし私は、聞こえないことはないけれど、お客さんのことを考えたら、マイクは使ったほうがよいのではないかと思えました。
私の方から言ったほうが良いかな・・・と思っていたところで、もう一名のリーダー格のスタッフの方が、「やっぱり、マイクは使ったほうがお話しが楽かもしれませんよ」とおっしゃってくださり、マイクを使うことになったのです。
 
そのとき感じたのは、講演者に対して「声が聞こえませんよ」とはなかなか言えないものなのだろう、ということです。
 
例えば、聴き手の立場で参加したとしても、講演者にモゴモゴと発声されてしまい、何を言っているのか聞こえなかったとしても「内容が聞こえませんのではっきりしゃべってもらえませんか」とは、とても言えないものです。
 
ごく稀に、会議やプレゼンなどで「聞こえないよ!もっと大きな声で話してくれ!」と、たまらずおっしゃる方もいらっしゃいます。お気持ちは分かりますが、講演者が驚いたり動揺してしまい、その後よくなったことがあまりないような気がします。
 
なぜこのようなことになってしまうのか。
それは、講演者が、自分の声を聴き手側に立って確認できないことに原因があります。
 
私は、ピアノの演奏会をするときは、必ずリハーサルをして、信頼できる方に聞いてもらいます。そうすると「音が響きすぎている」とか「もっとタッチを明瞭にしたほうがよい」など、アドバイスしてもらえるのです。自分が音を出している場所と、音が響きを伴ってとどくお客さん側では、本当に聴こえ方が違います。
録音機を後ろにおいてリハーサルすればいいじゃないか?と思われるかもしれません。しかし、機械は人間の耳が拾わない音まで拾ってしまうものなので、実際の聴こえ方や響きはほとんど分からないといったほうが良いでしょう。
 
お客さんに聞こえなければ、いくら時間とお金を使っていらしてくださっていても、内容以前にサービスをお届けできていないようなものです。
話し手は、必ずお客さん側の聴こえ方を確認すべきです。リハーサルには、信頼できる方を連れて、確認していただくことをおすすめします。

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