早口は人が離れる 早口は加速する そんな早口をなおすには
ボイストレーニングの受講生で、どうしても早口になってしまう方がいました。
落ち着いた声で、信頼感のある話し方ができるようになりたいと、レッスンにいらしたのです。
その方は経営者だったのですが、「早口だと感じ悪いよ」と先代の社長から言われて気にされていました。
やはり、早口は感じがよくないととられるのは仕方ないことかもしれません。
芸人の方で、芸風が早口であるというのはプロが意図してやっているので別として、ビジネスのシーンであまりに早口だと、落ち着きが無かったり、がさつなイメージがあって、相手が不安になったりします。
私は、以前は、早口で結構キツイ話し方をしていたと思います。
学生の頃、親身になってくれる先生から「ぶっきらぼうに聞こえるから気をつけたほうが良い」と注意されたことがありました。
じつは、意図的にそういていたふしがあって、そのほうが親近感があってよいと思っていたのです。
しかし、人様の成長を支援するような仕事をさせていただくことになると、心の中は「親近感と温かい心」にあふれていても、人は相手の外面や言葉からその人を感じるのです。これでは良い関係が築けないということが序々に分かってきました。
人が離れていくのです。
そこで私は、ビジネスでも、プライベートの人とのコミュニケーションでも、実際より2割ほどゆっくり話すようにしてみました。
自分の内面や気持ちは以前と同じなのですが、2割ゆっくり丁寧に話すことで、話していると相手が穏やかな笑顔になってくることが分かってきました。
相手の気持ちが開いて、ほぐれてくれば、こちらの言っていることも受け入れてくださいますし、良い関係が築けて、仕事も上手くいきます。
相手の立場に立つということは思いやりを持つということです。
一人一人に対して、思いやりを持って話すことをすると、これは結構心のエネルギーを使います。心のエネルギーを使うことを今までめんどくさがっていた、と思いました。
ただ、気持ちはゆっくりにしようと思っても、殆どの「早口癖の人」は、なかなか直りません。
それは、早口とは加速するものだからです。
私はその理屈は身をもって体験しているので理解できます。
加速化をとめるためには、横隔膜をつかってエンジンブレーキの役目をはたしてもらいます。
横隔膜を使えるようになると、早口がおさまり、ゆっくり話すのが苦しくなくなります。
いつでも・どこでもできる音のしない「横隔膜トレーニング・ブレス」を常に行うようにしています。
★★横隔膜トレーニング・ブレス★★
1、肋骨のすぐ下あたりに手を当てる
2、顎を下げて口を開け、思い切り息を吸う
ポイント:肩が上がらないように。お腹が風船のように張る感じを手で確認すること。
3、口を閉じ、唇に針一本通るくらいの隙間を開けて頬と鼻の下がパンパンにふくらましながら5秒息をはき、6秒目に当てた手でお腹をグイッと押して止める。(なれたら手を使わなくても止められるようになります)
ポイント:頬と鼻の下がリスがエサを口に入れているようにパンパンにふくらませる。ここが遠慮がちになっては効果がありません。必ず鏡で確認してください。口の前にティッシューをかざすと地面と平行になびくくらいの呼気です。お腹はできるだけ張った状態を維持します。
4、再び口を開けて2から繰り返す。