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45%が誘拐されて結婚 現代においても減らない誘拐婚の事実

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オペラ「後宮からの誘拐」は、モーツァルト五大オペラの一つとして人気の高いものです。モーツァルトらしいきびきびとしたリズムや陶酔させる美しい旋律が魅力的で、音楽としては素晴らしい作品です。しかし、このオペラを初めて知った頃は、婚約者が売られたり、また誘拐したり、というストーリーが、どうも納得がいかないなあと思っていたものでした。
 
そのようなこと考えていたところ、「ナショナルジオグラフィック」2013年7月号の「キルギスの誘拐婚」という記事より、この現代においても、女性を誘拐して結婚するという行為が白昼堂々と行われていることを知りました。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・
 
・18歳のアイディレック・イブラエバは、牧場で働く22歳のパクティエル・アサンペコフに誘拐されて結婚した。首都ビシケクから連れてこられたのは、携帯電話もつながらない牧草地だった。
・2012年9月友人とナルイン市内を散歩中に誘拐され南部の小さな村に連れてこられた20歳の大学生ファリーダ・カナットペコワ。1ヵ月後に別の男性と結婚する予定だったファリーダは抵抗し続け隙をみて母親に携帯電話で連絡。その8時間後、兄が助けに来て自宅に戻ることができた。このようなケースは稀でキルギスでは誘拐された女性の8割が結婚を受け入れるという
 
     ・・・・・(以上引用)・・・・・

その他何名もの20歳前後の女性が誘拐され、強引に結婚式をあげさせられている事例が掲載されていました。
誘拐には、親族や友人も協力し、車で拉致し、泣き叫んでも逃がしてもらえず、到着すると花婿一家が総出で説得し、強引に結婚式を挙げさせられます。キルギスでは、一度男性の家に入ったあとにそこから出るのは恥になるため、あきらめて結婚を受け入れることになるのだそうです。
 
このようなことが法律では守られていないのでしょうか。
実際は、「女性が、自殺したりレイプされたりしない限り、誘拐した男は起訴されないのが現実だ」と記事にはあります。
 
15年以上前からキルギスの誘拐婚を研究する米国フィラデルフィア大学のラッセル・クラインバック名誉教授らは2005年の論文でキルギスで暮らすクルグス人既婚女性35%~45%が合意なく誘拐されて結婚していると推定しています。
 
違法な誘拐婚がなくならないのは「国民の多くがこの習慣を古くからの伝統と信じている」ところにあります。しかし、クラインバック名誉教授は「誘拐婚はキルギスの伝統ではない。現在の暴力的な誘拐婚が増えたのはソ連時代に入ってから。昔の駆け落ちの誘拐婚がこの半世紀の間にねじまがって伝えられ、現在の違法な誘拐婚を伝統と思い込人が増えたのではないか」と言っています。
 
意外なことに、誘拐婚をして幸運にも幸せになっている人たちもいます。しかし、一方では暴力を受けたり、自殺に追い込まれる女性もいる。今年一月には刑法が改正され、女性を誘拐した者に科される刑期が3年から10年に延びたそうです。しかし記事では「今後、誘拐婚が減るかわからない」とされています。

記事には誘拐婚をされた女性たちの写真がありましたが、一様に目がうつろで憂鬱な表情をしているのが印象的でした。厳しい人生だと思います。これからの彼女たちの幸せを願わずにはいられません。
 
昔は日本も似たようなことが歴史的にはあったのだと思います。
しかし、より良い社会にしていこうという人々の知恵や勇気のおかげで今の私たちがある。
奇跡のように、この現代の日本に生まれ、自分の意志で生きていくことができる環境をあらためて有り難いと感じました。

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