「ただいるだけ」の先輩に失望
私は、競争の権化ともいえる、コンクールを全肯定していません。
ただし、自分自身、コンクールをやってよかったと思えることがあります。
それはより厳しい聴衆の前で演奏する機会をただけるからです。
それは、しんどいこともありますが、厳しい環境が増えれば増えるほど良い。耳の肥えた聴衆の前に、いかに数多くさらされるかが上達の早道なのです。
2013年5月23日日本経済新聞NIKKEI PLUS1に心臓外科医の南淵明宏さんの記事が掲載されていました。
南淵さんは、以前MHKプロフェッショナル仕事の流儀にも出演していたのを見たことがあります。当時は、神奈川県大和市の大和成和病院で執刀なさっていて、猫好きから猫のTシャツを着ながら、ものすごい数の手術をこなしていました。
今は、大崎病院東京ハートセンターのセンター長を務めておられるようです。
その南淵さん、「いかに数をこなすか」とおっしゃっていたのが印象に残っています。
・・・・・(以下引用)・・・・・
すぐ上の先輩たちは「ただいるだけ」。失望しました。
国立大学から移ってくる40代半ばの医師は手術のレベルが極めて低く、許されないと怒りさえ感じました。ひたすら大学で論文を書き、学位をとってから病院に赴任して初めて手術のい臨むのですから、腕が悪いのも当たり前です。こんなむごい、非人道的な環境では「プロ」にはなれないと考え、海外に武者修行に行きました。
(中略)
手術の腕を磨くには野球にたとえれば千本ノックを受けるしかありません。その道でプロになるには必要です。地獄を見ないと技術は身につきません。
・・・・・(以上引用)・・・・・・
腕前とは数の法則があるのだと感じています。
そして、腕前だけではなく、そこから大事な何かを「掴む」ことのできる人間だけが、心も磨かれ精神も深まっていく。
人間的にも成長できるのだと思っています。