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ライフワークとしての音楽を考えていきます

お客さんは本当は何がほしいか分からない これから必要とされる「見える力」とは

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「おまかせに。」
 
なんという魅惑的な響き。
 
レストランの「シェフのおまかせコース」は、ちょっと値段も高いけど、やはり憧れます。
嫌いなものや食べられないものを言って、あとは何が出てくるかはお楽しみ。
素晴らしいシェフが、お客の顔を見て、今日という日のインスピレーションで作ってくれる極上の時間。それはあたかも、自分のためだけに芸術家がその日降りてきたもので奏でる音楽のようでもあります。
 
レストランだけでなく、様々なコーディネーションを信頼できるプロフェッショナルに「おまかせ」してみたいものですね。
ただし、ハズレたら目も当てられませんので、「やはり信頼できるプロに」が大前提ですが・・・。
 
私は、声楽を始める前、「自分は高音が出ないし、きっとソプラノじゃないだろう」と思って入門しました。
しかし、先生は私が歌う前から「あなたはソプラノです。」と言い切るのです。
まさか?と思いましたが、トレーニングをするうちにすぐに高音が出るようになり、今ではコロラトゥーラという、ソプラノのジャンルでも一番高い音を担当する声になっています。
 
トレーニングを始める前に歌うことを夢見ていた作品があったのですが、歌というのは、声に合わないと歌いたい作品でも歌えません。でも今は、無理に合わないものを歌うより、自分に合っているものを追求するほうが上達も早く、より説得力のある表現ができるので、ご判断に感謝しています。
 
素人の自分が「こうしたい」と思っていても、プロしか見えない世界があって、「それよりもこちらの方があなたにあっている」「こうしたほうが良い」というのが分かるものなのです。
 
声楽だけではなく、今までの人生において、プロの目利きの凄さを思い知らされてきたので、勉強不足の段階であれこれ言わずよく聞くことの大事さが身に染みています。
 
もちろん、お客さんのおっしゃることを傾聴し、どんなことに困っていて、何を希望しているのか聞き出すことも大事なことです。
 
でも、私がお客さんの立場だとすると、「どうしたい?」と聞かれても、本当のところは意外によく分からないものなのです。
「自分がどうしたいか」ポイントをついた解答をするにはある程度の勉強が必要だと私は思います。
 
だから、いろいろと希望を聞いていただいた後、「こうしてはどうでしょう?」「こういうのもありますよ」と、最初自分が想像もしていなかったような企画、提案、指導を受けると、
「そうそう!これが欲しかったのよ!」
「本当はこうしたかったの!」
「ほう!自分にはこんな才能が眠っていたのか!!」
と、目からウロコが落ちることが多く、やはりその道の方というのはさすがだと思ってしまいます。
 
そう、単に聞き出すということだけでは足りないのです。
 
お客さんは本当は何を欲しているのか?
お客さんが気がつかない無意識にある希望や可能性を見つけて差し上げて、それをサービスしたり導いたりするプロフェッショナルとしての力量が求められているのではないでしょうか?
 
目に見えないものを見通す、「見える力」が必要なのだと思っています。

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