私が「営業モード全開」が苦手なワケ
朝、電話をとると、突然甲高い女性の声が飛び込んでくる。
「おはようございまーす!本日うかがいます0000の石山でーす!」
ハイCもラクに出そうな高い声で、思わず受話器を10cmくらい耳から離してしまう。
「0000は、なんと今年xx周年を迎えるんですね!わたし、残念ながら今日うかがえないので11時に代理の者が交換に行きますけれど記念キャンペーンのパンフレット持たせますので、ぜひ!商品たくさんゲットしてくださいねー!」
違う方がいらっしゃるのか。よかった・・・と少なからずほっとしている自分がいる。
毎月一回、水周りやレンジフードフィルターなどをお願いしている会社の担当者の方は、営業モード全開で訪問してくださるのです。
交換のためお通しすると、さりげなく部屋をチェックし、ホコリっぽければモップをすすめ、消火器とか空気清浄機などもうすでに持っているものまで、新しい自社商品に変更することを勧めてくださる。
実は、数ヶ月前まで交換にいらしていた営業の方が、「来月から別の者が参ります」と言い、最後についついポロリと「あまりにお客様に売らなければならないノルマが厳しくてつらい」とおっしゃってお辞めになっていたことを知っていました
そういうこともあり、相当プレッシャーがかかっているのであろうことは理解できました。
まだ電話なら心理的負担も少ないのですが、家の中で必要のない商品まで営業をされると、嫌だなと思っても逃げられない状態で、あまりに熱心で激しいトークは辟易としてしまいます。やっと玄関口を出たところで、ほっとして思わずため息が出ます。
「受け流して断ればいい」のかもしれませんが、長々と営業されるのは、いろいろと用事を抱えているときにこちらも時間を使うので気が重いのです。
良い商品だからお願いしているので、それを営業されるから気が重いと感じてしまうのは、こちらの立場からしても残念に感じます。
接客の営業は、「売りたい」という気持ちと、「お役にたちたい」という気持ちのせめぎあいなのかもしれませんね。
私は、いつも自分の着る洋服は決まったところでしか買いません。面倒くさがりやなので、いろいろと探し歩くのが億劫だというのもあるのですが、そこの店員さんが私に似合うものを用意してくれるのでラクなのです。ごくたまにですが、良いものが入るとお電話をいただくこともあります。だからといって、強引にすすめるわけでもありません。
試着に行くと、本当にぴったりで大抵は気に入り、買うと普段もよく着ています。
さりげなく、お店では置いていないアイテムで、コーディネートすると良いものなどを教えてくださったりするので、少ないですが他の店にも行くようになりました。「なるほど!こんな風にすると良いのか!」と発見があり、勉強になります。また、以前買ったものまで良く覚えてくださっていて、私が思わず衝動買いしようとするものを、「コレは昨年お買い求めになったあのブラウスと似ていますからどうでしょう?」と、すかさずアドバイスくださるのです。
以前は、いろいろと探して疲れ果てて、結局着ない服がたまっていくという悪循環だったのですが、最近はおかげでそういうことはなくなり喜んでいます。
お客は、本当にお客のことを考えてくれるところにいくものなんですよね。
「顧客の創造」などといったら大袈裟になるかもしれませんが、「お役にたちたい」「喜んでいただきたい」という気持ちを持つことが、自分も仕事をする上で考えていかなければならないことだと思っています。