「なぜ売れない?」その答えは、知りすぎているから
「自分のことは自分が一番分かっている。だから誰のアドバイスもいらない」
もしそれが、自分自身の精神的なことであれば、深い問いを繰り返し、その答えにたどり着くことが可能かもしれません。
しかし、そうではない場合もあります。
「なぜ、この商品が売れないんだろう?」
「なぜ、伝わらないんだろう?」
「なぜ、認められないんだろう?」
「なぜ、みんなが動いてくれないんだろう?」
その答えは、自分の中だけでは、解決できない問題があります。
「アイデアのちから」(日経BPマーケティング)の中に、「叩き手」と「聞き手」についての実験が書かれていました。
被験者を「叩き手」と「聴き手」の役に分け、「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」や「星条旗よ永遠なれ」など誰もが知っている25曲の歌のリストを渡す。そして「叩き手」は、リストの中から1曲選んでリズムだけを指で叩く。「聴き手」は、そのリズムのみを聴いて曲名を当てる。
実験前、「叩き手」に正答率を予測させたところ50%だったのにも関わらず、実際に出た結果は、120曲叩いたうちのたった3曲しか当たらず、正答率は全体の2.5%だったのだそうです。
実験中、聴き手に聞こえるのは、モールス信号のような奇妙なリズムだけ。
叩き手のほうは、聴き手がメロディーをつかめないことに唖然とし、「なんで分からないんだ?馬鹿じゃないか?」とでも言いたそうな顔になってしまいます。
これは実際の社会にもよくあることではないかと思います
その世界のことを一度知ってしまうと、「叩き手」は「聴き手」の気持ちが分からなくなります。
これを、本では「知の呪縛」と言っていました。
この「知の呪縛」。
専門性が高ければ高いほど、長くやっていればやっているほど、呪縛は強くなり、逃れることが困難となります。
この知の呪縛を確実に打破する方法、それは
1、何も学ばないこと
2、アイデアを作りかえること
とありました。
しかし、その前にもう一つの方法があります。
「教えていただく」
最近、マーケティング的な考え方が世の中に広まっていますが、もし、「自分がこの業界では一番よくわかっている」と思ったとしても、お客様や識者に、謙虚になって「教えていただく」というのも一つの方法かと思います。
答えは他人の中にある。
最近、その思いを深くしています。