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凍傷になった指のおかげで土地を買う 真のチャレンジャーとは

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朝のすがすがし空気がヒンヤリと感じられるようになると、無償に山に行きたくなります。
特に温泉に行ったときなど、リュックをしょって奥地に入っていくハイカーを見ると、もういても立ってもいられず、温泉などは放り出して「私も!」とついて行きたくなってしまいます。
 
数年前まで山には良く行っていたのですが、一度怖い思いをしました。岩場でバランスを失い滑落しかけたのです。
こういうときというのは不思議なもので、心は静かなのです。景色や動きがスローモーションで感じられ「落ちても手足の骨折くらいですむといいな」などと頭の中では冷静に考えていました。
そのときは、何とか持ちこたえて無事だったのですが、それ以来、高い場所は遠慮するようになり、もっぱら低いところで楽しんでいます。
 
そんな私にとって、今年嬉しかったニュースは、女流登山家の渡辺玉枝さん、女性最高年齢記録を更新しての73歳チョモランマ登頂です。しかも、自身のもつ10年前の女性最高記を塗り替えての偉業。
2012年6月20日日本経済新聞の「フォーカス」にて渡辺さんの記事が掲載されていましたので一部引用してご紹介します。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・
 
73歳になっても好奇心と冒険心は変わらない。2002年のネパール側からではなく、今回は中国チベット側から。「急な岩場もあって難しいコースだった」途中「酸素ボンベが切れて体が動かなくなる」ハプニングも。05年に自宅近くの川に転落、腰椎をつぶす大ケガを負った。懸命にリハビリに励み、08年にモンゴルのフィフティン峰に登って再起を確認する。
10年の歳月はさすがに「酸素マスクを外して歩いたほうが楽だったわ」とはいかなかった。「今回は苦しかった。自分の年齢を痛感した」
 
     ・・・・・(以上引用)・・・・・

登山家というのはなぜここまで好奇心と冒険心が強いのだろうかと思います。好奇心のためならば何が何でも不屈の魂で復活する。
 
もう一人の女流登山家、田部井淳子さんの著書「タベイさん、頂上だよ」を読むと、こんなフレーズが出てきて、常人の私は驚愕させられます。
 
『マッターホルンで凍傷になった指を切り、その保険のおかげで私たちは土地を買う決心がついたようなものだった。丸くなった指を見るたびに、ああ、この指さまさまだねと顔を見合わせては笑った。』
 
指を失って辛くないわけはありません。

しかし、このたくましさ。
しぶとさ。
そして、魂の強さ。
 
たったこの一文からでさえも、真のチャレンジャーの凄まじさを見せ付けられます。
そして指を失ってなお、最初は靴下に血を滲ませながらも見事に復活するのです。

 
渡辺玉枝さんのカメラマンとして10年前から同行している村口徳行さん(56)が「渡辺さんは俺なんかと一緒にいかなくたってほっとけば勝手に登っちゃう人。何の問題も起きない優秀な人です。」
とおっしゃる言葉が痛快に感じられます。
 
これからもお元気で、世界の女性に元気を分けていただけるようなご活躍を期待しています。
渡辺さん、有り難うございました。

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