ボイストレーニングは続けることで確実に成果が声に表れる そして「三つの詩篇」へのチャレンジ
2012年7月22日、私の運営する合唱団「コール・リバティスト」は、東京都合唱祭に出演してまいりました。
東京都合唱祭の素晴らしいところは、演奏者が聴衆にもなり、他団体からの講評をいただけることです。
8人の先生方からいただける講評も大変的確で勉強になりますが、他団体さんからの講評も、同じ道を歩む者同士、熱い思いにあふれた言葉を読むことが出来ていつも楽しみにしているのです。
この合唱祭は創立以来毎年出演し、今回で6回目となります。
6回出演すると、その講評も年毎に少しずつ変化してくるのがわかります。
初期の頃は微妙な感じで「頑張ってください」とか「もう少し思い切って歌うといいのでは」という雰囲気のコメントが多いのですが、年を重ねるごとに「なかなか良かった」というようなコメントが増えてくるのです。
今年、特に嬉しかったのは「表現力がある」「発声が良い」というコメントが以前より増えていたことでした。
リバティストでは、プロと同じボイストレーニングメニューをお伝えする時間を毎週土曜日の午後に持つようになって2年半。
もちろん、個人レッスンのような緻密さは望みようもありませんが、それでも諦めずにやってみると全体の響きというのは少しずつでも変わってくるのですね。皆さんの素晴らしい頑張りもあって、今年はその成果が表れ始めているなと感じました。
初期の頃からいらっしゃるメンバーにも元々優秀な声を持っている方がいて、最初は彼女の声が目だっていましたが、今は皆とよく溶け合っています。それだけ、皆さんの声が洗練されてきたということでしょう。
これからは、ドラマティックな場面や、より繊細な表現にも対応できるように、声作りを進めていきたいと思っています。
きっと、マスターしてくださると楽しみにしています。
次回の定期演奏会では、初めての試みですが、ピアノ伴奏付き女声のための合唱作品、松下耕先生の、「三つの詩篇」を歌います。
昨年の5月、青葉台の「フィリアホール」で開かれた東京混声合唱団の「蔵王」「水のいのち」などが歌われた名演奏会で、三善晃先生の女声のための組曲「三つの抒情」が演奏されていましたね。
混声合唱団なのになぜ女声合唱を入れるのか?と思われますが、女声合唱というのは独特で、人間の声を超越した器楽のような世界を創りあげることができるのです。人間くさい混声合唱の間に、女声合唱を入れることで、あたかも違う楽器の演奏会が開かれたようなピュアな新鮮さを聴衆は味わうことができます。
リバティストでは、ちょうど女声の人数も多くなってまいりましたので、こういった音楽をお客様に感じていただき、かつ、自分たちも混声合唱団にいながらにして、混声と女声、二つの世界を経験できるという贅沢な環境をぜひ楽しんでいただけたらと願っています。また、男声の皆さんは「蔵王」があまりにも男声の負担が大きいので、プログラムの途中で喉を休めることもできるというとても良い構成になると思います。
「三つの詩篇」、楽譜の前書きを読むだけで、松下先生の尋常ではない魂の没入振りに感動してしまいます。
松下先生が、なぜキリスト教の言葉を日本語になさったのか。
何度も詩を読んで、楽譜を読んで、ぜひ感じ取ってください。
リバティストでどんな響きがするのか。
楽しみにしています。