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ライフワークとしての学びを考えます。

「つまらん!これゴミ箱行き」 なぜ評価されることを怖がるのか?

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ある作品を人前で演奏しようと思ったら、事前に必ず尊敬し信頼する方に聴いてただきます。
 
そういうとき、否定されることもあります。
 
本来、他人に否定されるのは無意識のエゴが拒否します。
 
だから、聴いていただくときに、本来意識していないのに、エゴが暴れて苦しくなり逃げたくなるのです。
 
けれども、そこで否定されたとしても、それまで持っていた「もしかしたら大丈夫かも」という甘い考えはなくなり、気持ちが定まります。そこから本当の創作が始まるのです。
 
「だめだ」と言われたときに、どう感じるか。否定する方も真剣に見ているから否定できるのです。いい加減に見ていたらば、自分が悪者になりたくなければ、通り一遍のことしかおっしゃらないでしょう。
本当のことをおっしゃっていただけて有り難いと感じるかどうか。
そこが分かれ道だと思っています。
 
ラ・ベットラ・ダ・オチアイの落合務シェフは、スタッフが作った料理は少しでも良くなければ容赦なく否定し、ゴミ箱に行きとなります。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・
 
ちょっと違うなーと思っても、過程が分かれば直しようもある。直しようのないものは即ゴミ箱行き。もちろん、その前に作った本人に味見させる。
「どんなものか自分で食ってみろ!うまいかまずいかどっちかだ!」
「う~ん」
「はっきりおいしいと言えないものを、ゲストに出すのはよくないだろう」
(「ラ・ベットラの定番スパゲティ」より引用)
 
     ・・・・・(以上引用)・・・・・

ミシュラン三ツ星レストランの若きシェフ「カンテサンス」の岸田周三さんは、求道者のような料理人としても知られています。
 
肉をきれいなピンク色に仕上げる低温調理が看板料理。
1分焼き、5分休ませるというサイクルを2時間以上も繰り返すのです。
 
2008年2月5日NHKプロフェッショナル 仕事の流儀に出演していた岸田さんは、まぐろ料理で試行錯誤を繰り返していいました。
 
出来上がった料理を少しつまみ、
「つまらん!君にやるよ。」
と、スー・シェフ(二番目)にあげてしまいます。
 
美味しいかどうかでなく「つまらない」。
 
岸田さんは、まるで芸術家のような厳しい姿勢で料理に臨んでおられるのです。岸田さんが作ればどんな料理でも普通の方にとっては美味しいと思います。しかし、そこそこ美味しくても「まあ、いいか」とは絶対にならない。
 
本当に感動するようなものとは、必ず過程があります。
あるとき突然素晴らしいものが出来上がるわけではありません。
その過程においては、信頼している方から「これゴミ箱行きね」と言われるような場合もある。
それは、決定打ではなく、まだまだ素晴らしいものに到達するための過程。可能性はまだ眠っている、と申し上げたいです。
 
否定されることは人間にとって無意識の領域ではとても怖いこと。しかし、逃げずにそのエゴを見つめられる人が感動するようなものを作っていくことが出来るのではないかと思っています。

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