プロと同じようにはいかない職業的知恵とは
「音楽にプロもアマチュアもない」と良く言われます。
しかし、積み重ねの時間が圧倒的に多いプロは、アマチュアとは決定的に違う面を持ち合わせているのです。
2012年4月14日、合唱団コール・リバティストにマエストロをお招きしての稽古を行いました。
3月31日に定期演奏会のためのプレ・コンサートを行ったのですが、そのときいつもと違う響きが聴こえたのだそうです。
「テンションが上がってソプラノのピッチが高く、音量も大きかった。目立つほどではないけれど、練習のとき聴いていない音だった。”どうした?”と、びっくりします。これは僕にとっても初めての経験」
「もちろん良くなればいい。でも、練習のとき聴いたことない音はまずいですよ。指揮者にとって、本番では練習のとき聴いた音が鳴って”また来た、また来た”と思えれば良い。」
「疲れるかもしれないけど、テンション上げるなら練習でも上げて。プロは練習では(意図的に)テンションを下げている。それで本番だけはすごく良い。でも皆さんが本番だけテンション上げると変な風になる。だから普段からテンション上げて歌っておく必要があります」
プロは、圧倒的に音楽に費やす時間が多く、本番までどのように自分の精神状態や、テンションを上げていくか、という方法を何度も経験して分かっています。
それは、アマチュアが逆立ちしても太刀打ちできない、職業的な知恵でもあります。
プロのテンションの上げ方というのは一朝一夕に出来るものではありません。
そうではない人がまねをすると、「いつもより張り切ってみました」という結果になってしまうことが多い。
「練習を本番のつもりで。本番を練習のつもりで」とよく言われますね。
普段の稽古で120%くらいまで高めることをしておくと、本番で丁度よい感じになるということです。
いかに練習での歌い方が大事かよく分かりました。
あと一ヶ月ですが、皆さん素質は十分ありますので、これから毎回テンションを上げていければ、当日はかなり良い演奏ができると思います。
ただ、以前は本番でもテンションが低すぎて困っていましたから、これは進歩の過程ではないかと思っています。私は、テンションが低いより高いほうが何倍も良いと思っています。経験を重ねて「折り合いのつけ方」をつかんでいきたいですね。
この日は、中田喜直作曲の「海の構図」全曲と「都会」全曲を練習しました。
基本的なことですが、やはり譜面をもう少し読み込んでいきたいですね。
音程のほかに、音符の長さや、強弱が、全員共有できることが目標です。
特に、弱く歌うところが大事。弱いところを何名かが強くうたってしまうと、そこは弱くなりませんからね。
でも、まずはプレで皆さんの心が一つになって、同じ目標に向かってスタートを切ることができた。
これはすごく良かったです。
さらに楽しみになってきました。
頑張りましょう!