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なぜ100人の意見がピタリと合うのか

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素晴らしいオーケストラの演奏を聴くと、100人もの人たちの音が一糸乱れずぴったりと合っていることに驚きを覚えると思います。
 
それも、常に指揮者をベッタリと見ているわけではない。
肝心なところを見るだけです。
 
これは自然に合っているのではなく、「合わせよう」と思わないと絶対に合わないものです。
 
とくに、指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの演奏。
これは、寸分の狂いもなくオーケストラがビチッと合っている。
カラヤンの演奏は一見華やかで洗練されており「汗」のあとが感じられません。しかし、聴衆から見えない舞台の裏では、大変に緻密な職人的にオーケストラをトレーニングする技を持っていました。
 
カラヤンに師事した小澤征爾さんは、合わせるために、「今この瞬間はこの楽器を聴いて」というように、その都度その都度一つの楽器(パート)に全体を集中させる。そうすると「オーケストラの音がすっと合う」のだとおっしゃっています。
 
カラヤンは「今はチェロを聴いて」「今はオーボエを聴いて」というように、それが天才的に上手かったらしいのです。
それを練習のときははっきりと指示したといいます。
カラヤンは、そのオーケストラの地道な「仕込み」をきっちりと行っていたのです。
 
だから、オーケストラは楽団員同士で合わせようとしている、というよりか、「聴こうとしている」と言ったほうが正しいかもしれません。
 
練習で指揮者に仕込まれているので、本番ではあまり指揮者を見ずとも、全体で聴いて合わせることができるのですね。
 
本番の舞台では、オーケストラが音を出し、指揮者は棒を振っているだけに見えますが、素晴らしい演奏は仕込み(練習)が命。やはり、指揮者ありきなのです。

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