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楽しいだけで喜びはあるのか? 自分の可能性の限界を超えるために

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シェイクスピアの「シンベリン」という作品。蜷川幸雄さん演出で、今年の5月にロンドンで上演されることが決定しています。

  
 
そこで、俳優の阿部寛さんが、シェイクスピア初挑戦で初海外公演という特集を、昨日朝のニュースで見ました。
最近、独特のアクの強さが出てきて存在感のある俳優になっているように思えますが、今回の公演は、阿部さんにとってさらに大きな転機になるのではないでしょうか。

  
 
熱気あふれる稽古のシーンでは、蜷川さんの細部にまでこだわる、キメ細やかな演出が印象的でした。

 
 
「こんなテンションの高い表現は初めて。冒険している。」

 
 
「蜷川さんは怖い。昔はもっと怖かった。でも、だからこそ、可能性の限界を超えられる」

 
 
インタビューにおいて、阿部さんはこのように言っていました。

 
 
あえて「怖い」という表現をした阿部さん。
 
厳しい指導でも知られる、今は亡きつかこうへいさんに鍛えられて、役者として素晴らしくなっていった。
 
「怖い」「厳しい」
ネガティブな言葉に思えますが、楽しいだけではきっと超えられないものがあるのではないでしょうか。

 
小澤征爾さんの師匠でもあり、現在クラシック音楽界を引っ張っている音楽家を数多く輩出している桐朋学園の創立者であり、サイトウキネンオーケストラの名前にもなっている齋藤秀雄先生。
 
齋藤先生は、大変怖く、厳しい方であったようです。
怒りのあまり眼鏡を飛ばし、眼鏡が壊れてしまったのでレッスンが中止になったり、オーケストラで弱音器を忘れたチェロ奏者が一人いたことで全体のリハーサルをやめてしまったりなど、枚挙にいとまがありません。

 
リーダーの怖さや厳しさが、限界を超えさせてくれる。
だからこそ喜びにつながる。
 
プロフェッショナルにとって本当の喜びとは、そこにあるのではないかとこの頃感じています。

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